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内容説明
「三国志」の魅力は、幾多の武将の活躍と、軍師たちの戦術にある。本書は、その中から軍師のみ34人を選び出し、彼らの生き方と果たした役割を、人物ごとにまとめたものである。世は戦乱の時代、大きな変革の時代である。日々激しく動く状況下に身を置きながら、軍師たちは、時代の趨勢をいかに読み、いかなるグランドデザインを描き、いかなる戦術を立て、いかに行動したのか?「天下三分の計」を描いた諸葛孔明。軍師として勲功第一の働きをしながら曹操から死に追いやられた荀イク。赤壁の戦いで曹操軍を撃退するものの早すぎる死を迎えてしまった呉の周瑜。非凡な才能を持ち劉備から信頼されるものの、母への孝を貫くためにやむなく曹操に仕えた徐庶、などなど。三国志学会事務局長である著者は、物語の中ではなく、歴史としての三国時代に活躍した軍師たちの実際の人物像と行なった事績を紹介しているので、この時代に対する興味が一層深まる書である。
目次
序章 軍師とは何か
第1章 軍師の誕生
第2章 多士済々―曹操とせめぎあう軍師たち
第3章 忠義を尽くす―劉備を支えた軍師たち
第4章 悲劇の群像―孫権と生きた軍師たち
第5章 名士から貴族へ―西晋の中国統一
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つみれ
42
三国志の知識人層を広く「軍師」と定義し、彼ら34名が当時どのような役割を果たしたのかを論じている。一般に軍師とはみなされないような人物まで取り上げているのをおもしろいととるか、当てが外れたととるかは読む側のスタンスによるだろう。渡邉氏の三国志論は最終的に「名士論」で括られることが多くこれ自体は非常におもしろいのだが、歴史的事象を名士論の都合のよいようにあてはめすぎるきらいはあるように思う。新しい視点を提供してくれたことに感謝しつつ、自分なりに咀嚼する必要性を感じる。誤字や表記ゆれが多く読みづらいのが難点。2019/03/07
maito/まいと
20
これは隠れた名著!三国志の世界でほとんどフォーカスされていない“名士”の存在から、彼らなしでは成り立たなかった後漢末期の様子が学べる一冊。この本を読めば、なぜ孫堅は拠って起つ場所を得られなかったのか、孫策は(後の)呉の領地に行けなかったのか(ちなみに孫策は陸家を攻め滅ぼしたことがあり、生き延びた陸家を背負ったのが後の名軍師陸遜。そりゃ陸遜は孫策に仕えないわけだ)、なぜ孔明は蜀の国を背負わなければならなかったのか等々、謎や疑問点が解消されること多し!この本を読まずして三国志を理解することはできません☆2014/02/06
にゃんころ
15
後漢末期~三国~晋時代に活躍した軍師についての三国志副読本だと思います。軍師と題されていますが、この時代に「名士」として高名を馳せた人物評としてまとめられており、演義よりも正史(外伝含)を主にしていますので、演義好きな人だとちょっと求めている物と違うかと思います。あと、三国末期以降に活躍した人物が多いため、三国志として蜀滅亡あたりで止めている人だと微妙かもしれません(^^; 曹操と荀彧の確執は有名ですが、それが劉備と諸葛亮にもあったといのが驚きでした。個人的には魯粛ベタ褒めだったので満足です(笑)2011/09/30
みやび
3
内容はタイトル通り。私は三國志が好きなので成る程ね…と授業のように読みましたが、それでも少し難しかったです(北方三國志の、男の生き様・死に様が好きなので、歴史に詳しい訳ではないから…) 三國志を知っているという前提で書かれている。なので全く知らない人が読んで「よし、三國志を読もう!」と興味を持つことはないかなと思います。2018/05/03
竹園和明
3
三国志に関わる本は多数ありますし軍師にスポットを当てた本も多くありますが、ここまで詳細に記載された物は他にはないのでは?。時代時代で戦いの色合いが変わって行く三国志ですが、その時代ごと、国ごとに軍師は存在し、様々な観点から自国を優位に導く為の働きをしてきました。この本はあまり聞かない名前の軍師までも紹介しながら、その生涯や考え方を綴っていて、三国志好きにはたまらない作品になっているように思います。やはり自分は、スーパースター諸葛亮孔明亡き後に蜀を束ねた蒋苑と費緯に惹かれるものがあります。2015/02/26