内容説明
人工環境の下で動物化する私たちに「市民社会」「公共圏」は可能なのか? 現代社会思想のキーワード「公共性」の概念を整理し、法学、経済学、現代思想、認知科学の成果を吸収して徹底的に考える。より良い世界を構想するすべての人必読。
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目次
1 「公共性」と「市民社会」―概念史の試み
2 公共性の理論(は可能か?)
3 人工環境のエコロジー
4 リベラリズムのアイロニー
5 他律的/ひ弱なリベラリズム?
6 環境管理型権力と全体主義
7 「例外状態」
8 幸福なホモ・サケル
9 「よき全体主義」からの脱出
10 左翼の隘路
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんかい32
2
著者は誠実さと知識の確かさにおいて信頼がおける反面、不器用なところがあってどの本も平易な文体のわりに論旨が追いにくい。なかでも『「資本」論』と『モダンのクールダウン』は難解だったけれど、この本ではそれらで扱われた主題がより大きい枠組みへと統合されており、やっとなにを目指しているのかが見えてきて、感動的だった。とはいえ、一冊の本にいろいろとつめこみすぎ。あと、憲法を扱った箇所はこちらの知識不足で理解できず。2010/02/25
Mealla0v0
1
相互認知環境としての公共圏は、環境管理型権力によって、技術的・消費社会的な「よい全体主義」が隆起することで、すでに崩壊している。そこで、ひとびとは悲惨ではなく、むしろ幸福でさえあるようなホモ・サケルと化しているのではないか。――著者の関心はそこにあるのだが、古今東西さまざまな知見が参照されながら、新たな公共性の構築が目指されている。各知見のつなぎは斬新で問題意識もよくわかるが、文体ゆえか言語化しにく違和感が残る。そして、その結論の、著者自身の言葉で言えば「陳腐さ」。これがまた、乗り越えるべき点なのだろう。2017/09/26
井上岳一
0
稲葉振一郎の本を読むと、すごーく勉強しているのはわかるのだけど、この人の問題意識はいったいどこにあるのだろう、という気にいつもなる。公共性というテーマに対して挑んだことは評価するけれど、やっぱり消化不良な一冊。なんだかなー。2013/10/26
まつゆう
0
古典の読み込み、概念整理の卓抜さは圧倒的。まだ、現時点では論理的に誤謬を回避して回避して…終わり、で、筆者の嗜好がまだ見えてこない(意図的に消してる?)が、ただ、左翼に明らかな形での支持ではなく、アイロニーとして、控えめな可能性を見出している(誤謬といって切り捨てる蛮勇もこの筆者の能力なら可能だろう)辺りに、何とかしてリベラル、公共性の思想の骨髄を妥当な形で汲み出そうとする姿勢が垣間見えるように思う。難解だが、長くつきあって、この本から旨味を余すところなく引き出せるようになりたい。2013/04/03
aquirax_k
0
これだけは何が言いたいのかさっぱり分からない…頭が良い人に任せます。