内容説明
警視庁(ただし経理課一筋三十七年)を定年退職した木野塚佐平氏。フィリップ・マーロウ、リュウ・アーチャーなど、ハードボイルドに心酔する氏は、長年貯めたヘソクリを元手に、憧れの探偵事務所を開業する。しかし、凶悪事件の依頼どころか、念願の美人秘書もやってこない。そんなある日、近所づき合いで掲載した業界誌の広告から、ひょんな依頼が舞い込んでくる。記念すべき木野塚探偵事務所最初の事件は、何と、金魚の誘拐事件だったのだ。気鋭の著者が、愛すべき老人探偵。木野塚氏の活躍(?)を描く、大爆笑必至のハードボイルド連作集、シリーズ第一弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
88
木野塚探偵事務所シリーズ第1弾。警視庁経理課を退職した主人公が、長年の夢である探偵事務所を開く。ハードボイルドに憧れる木野塚だが、実際にはそんな事件など起こる筈もない。雇い入れた秘書の桃世と、毛利毛五郎とコナン君状態の連作短編集。定年退職した同年輩の、一途にハードボイルドを決めようとする姿に笑いや哀愁を感じるのだ。しかし、懸命に第2の人生を生き抜こうとする思いに頭が下がる。女性がいつまでも若くいようとする様に、本作は同年輩の再青春の物語なのだ。ラストはたまらない、目頭が熱くなるハードボイルドもいいものだ。2019/11/21
へくとぱすかる
81
志村けんさんの追悼で4月に再放送した「探偵佐平60歳」の原作。頭の中で、まさにそれをイメージするために読んだ。TVとちがって、コージーミステリ的ユーモア小説。アクションなど派手さはなかったが、定年という淋しさをハードボイルドで跳ね返すつもりが、空振りの三振をしてしまう、自意識過剰な木野塚氏がユーモラス。実際に私立探偵を始めてみたら、彼ほどもうまく行かないのだろうなぁ。原作が書かれて30年近いので、木野塚氏は実は、昭和ヒトケタ世代なんですね。世田谷線を「タマデン」と言ったり、いかにもあるあるな短編集でした。2020/06/16
ばりぼー
52
警視庁の経理課勤続37年で定年退職した後、念願の探偵事務所を開業した木野塚佐平氏の奮闘を描くハードボイルド連作集。「青春とは人生のある期間を言うのではなく心の様相を言うのだ。(サミュエル・ウルマン)」を引用するまでもなく、解説にもあるように、これは「熟年男性の成長を描いた青春小説」に間違いない。舞い込む仕事は、金魚誘拐事件、犬の失恋事件、菊花切断事件、猫の失踪事件など、チープで地味なものばかりだが、夫人との味気ない結婚生活への呪詛に満ち、フィリップ・マーロウに憧れる老人の妄想が炸裂する笑撃作だ!(笑)2016/11/21
Yuki
44
37年間経理として勤めあげた警視庁を定年退職した木野塚佐平は、第二の人生としてかねてより憧れていた私立探偵事務所を立ち上げる。外国のハードボイルドを気取っていても妻に尻に敷かれ、念願の助手はセクシーな美女ではなくボーイッシュでスリムな梅谷桃世。色々上手くいかないながらも桃世の聡明さに救われて事件を解決する。徹底的にズッコケユーモアハードボイルドで謎解きはそれほど。実写化で志村けんが演じていたと知り、木野塚の古臭い言動も含めて往年の加トケンの探偵コントを脳裏に思い浮かべて楽しんだ。2018/05/23
山犬
33
警察官を定年退職しあこがれのハードボイルド探偵になった木野塚佐平、だが探偵業は思ったほどハードボイルドな事件は、起こらず助手の桃世と共に事件を解決しようとするが木野塚さんは、ご近所トラブルな事件を無理やり自身の妄想でハードボイルドにしてしまう。そんな木野塚さんが愛おしく見えてきます。2018/06/10
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