内容説明
悪性の脳腫瘍で、死を宣告された男が200年後の世界に意識だけスリップした。地表は殺人ウイルスが蔓延し、人々は高さ2キロメートルの塔に閉じこめられ、完璧な階層社会を形成している未来へ。「…この物語は平凡な一人の男が、天を衝く塔を崩壊から救う。『ブルータワー』へようこそ! 夢みる力が決して失われる事のない世界へ」(著者の言葉)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tsuyoshi
71
石田さん初のSF作品。悪性の脳腫瘍で余命宣告をうけた瀬野周二は意識だけ「セノ・シュー」として200年後の世界にスリップする。その世界はウィルスが蔓延し、人々が高い塔内と地表に分けられた世界で救世主として元凶となったウィルスの特効薬を未来に伝える話。特に「愛のメモリー」は印象的。多少ご都合主義的な所もあったが、人々のために生きることが自分の為になるという思いは熱く伝わった。2017/11/22
ミュポトワ@猫mode
53
石田衣良先生、2冊目。この本が出版された時点での最長編を読了しました。石田衣良先生、文章上手いよね。引き込まれて結構一気に読んでしまった。この本の出版が2008年かぁ。その15年後にはマジ物のパンデミックが起きるとはだれにも予想できなかっただろうなぁ。亡くなられた方が大勢いるからあまりこういう発言は良くないのかもしれないけど、コロナウイルスで良かったよ…この本にあるウイルス使われたら、マジ物の生物兵器になっちゃうから。所詮人類はウイルスには勝てないんだよ…2025/07/18
タルシル📖ヨムノスキー
29
石田さんにしては珍しい本格SF作品。主人公は脳腫瘍の末期で余命いくばくもない男性。彼は脳腫瘍の発作に襲われるたびに21世紀から200年先の未来へ意識だけが飛ばされる。その200年後の世界というのが、人類が作り出した強毒性のインフルエンザに恐怖する世界。80年代のアニメ「戦闘メカ ザブングル」の世界観に近いかもしれない。いや強毒性のインフルエンザに恐れるという点から考えるとむしろ現代か。物語の中で幾度も語られる「全力で誰かのために働くことが、実は自分自身を救うことになる」というのがこの物語のテーマだろうか。2023/04/22
はせがわ きよし
27
たまにはこういう本もいいですな。近未来の超巨大建造物とかもろツボだったしwなんかAKIRA読みたくなったしwシムシティもやりたくなったしwやっぱり好きなんだよね。巨大な建物がさ。プリモスアルコしかり、九龍城しかり、宇宙ステーションしかり…おもしろかったけど最後はすごくあっさりと終わってしまったのでもう少し掘り下げてほしかったかな。2013/02/15
遊佐
20
前情報なしで読書友達からのお勧めで読みました。最初は癌患者である周司が人生の終わりなにかを残す作品だと思って居たのですが、頭痛が来るたび200年後の世界へ意識だけがジャンプする、というSFものでまず驚きました。その未来の設定も黄魔というウィルスが撒かれていて、その世界では世界に数ある塔でしかまともな生活を送れないという練られたもので興味を惹きました。どうすればその世界を救えるか残り少ない命で考える周司。周りが周司を信頼してくれているのがわかり、世界を救うためにも人間関係を構築する大切さを感じました。2015/03/23