内容説明
鯛の寸法計り、風呂桶運び、書物の揺さぶり……奇妙な仕事に従事して戦国から江戸にかけての世を生き抜いた男たち。決して派手な活躍はしなかった歴史の中の無名者たちの哀歓をつづった異色の時代小説集。『定本 おかしな侍たち』から八編を選り抜いて改題
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
131
前回は大名ということでしたが、今回は一介の侍、しかも下級武士が多く本当に会ったことなのかなあと、疑ってしまいます。まあこのような役職の武士もいないとひとつの国もきちんとおさめられないということもあるのでしょう。結構脚色してくれているので楽しく読んでしまいます。元の本から8編を取ったということですが、他の作品も読んでみたい気がします。2016/04/06
ソババッケ
9
8つの下級武士の物語。半島から連れ帰った豚の世話係り。戦場で大将に小便桶を出す係り。外堀・内堀を監視する係り。藩主の食する賄いものを測る係り。参勤交代で藩主の風呂桶を運ぶ係り。幕府使者の用便後の手水係り。藩所有の書物を揺さぶり紙魚を追う係り。戦場で法螺貝を吹く係り。それぞれが世の変遷に伴なう事件に遭遇し、最後は予想もしない結末が・・・。ラジオ文芸館紹介の「鯛一枚」は、寸足らずの鯛に逆上して賄い方を成敗しようとした藩主に、250人の藩士全員が脱藩届を出して去る物語。よくぞこれだけ変わった話を集めた。★3.32017/01/30
フックン
3
「定本おかしな侍たち」からのよりぬきとのこと。英雄・豪傑もいいけど、無名な男たちの生き様を知りたいかたはぜひ。戦国末から幕末・明治初期までいろんな役目・立場でみな一生懸命生きています。表題のとおり、けったいな役職が多くて楽しめますよ。2010/11/06