内容説明
38歳になった彼女は、断固として12月24日からお正月休みをとることに決めた。
不思議な摂食障害を描く表題作ほか。
<もくじ>
母の夢、オセチアの夢
石鹸
逡巡、あるいは骨の記憶について
詰めもの
そうじする人
小屋
<著者紹介>
15年の海外生活を経て、現在津田塾大学勤務。
主な著者『オノババ化する女たち』『昔の女性はできていた』『きものとからだ』他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MJ
12
三砂ちづる先生の作品は初読。女性同士のやわらかな会話を論理的で硬質な文体で描く。コンテンツと文体とのコントラストでページ全体が輝いて見える。このような技法もあるんだと新しい発見。2020/05/05
ころちくわ
10
短編集で、女性の人生がそれぞれ書かれています。一番印象に残ったのは「月経小屋」。まだ昭和30年代頃、ある地方の村では女性が生理になると穢れているので食事の支度も子供の世話もしなくていいから、村外れの三畳ほどの「月経小屋」へ行って生活しなければならなかったという。(日本の話です)当時の産婆さんの役目は、子供を取り上げるだけではなくて、年頃の娘に嫁に行くための体をつくる教育をしていたこと。女ってすごい。現在のダメな男を産んで育てたのも女だし、妊娠して産むか産まないか選択するのも女なんですよね。 2023/12/06
つゆき
10
女同士の対話を軸にした6つの短編が収録されている。落ち着いた語り口なのに内容がすごく濃いんですよね。一気読みしてしまいました。実体験を伴った教示の数々、忘れて欲しくないことや語り継いで欲しいこと、誰も教えてくれないようなことが見事に描かれている。大変勉強になりました。2011/02/28
愛玉子
9
作者が理想とする女性性の形態は一昔前の日本にあるらしいが、随分と大らかで素敵な時代であったようだ。その当時、夫婦生活は妻側にとって苦痛を伴う義務でしかなく、しばしば暴力に晒され、子沢山で肉体的にも精神的にも疲弊し、あるいは子を産めず実家に帰されることもあった…という現実も存在したはずなのだが。女であることを大切にしようという主張には賛成だし、他の短編、特に『そうじする人』が良かっただけに、手放しの賞賛に疑問を覚える表題作が残念。でもこれ、エッセイではなく小説なのか。ではファンタジーということで。2010/04/02
姫林檎
6
現代社会についての考えを軸に書かれた静かな短編集。題名の意味を知ってドキリ。表紙のデザインの意味もわかってなるほど。2015/03/13