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内容説明
「これがほしいの」宿奈がさしだした手の上に、千広が売った小石がのっていた。「疫病に効くとか大神のご加護とか、全部、空言なんだぜ」「知ってる。それでもかまわない。つるつるしていて、まるで水晶みたいでしょう。水晶のこと、氷石ともいうのだって…」ひたむきさを失いかけた少年に訪れる、天平九年の夏の出会い。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
mocha
73
天然痘が猛威を振るう奈良の都。母を亡くし、唐に渡ったまま帰らぬ父に怒り、荒んだ心を抱えながらも必死に生きる少年が主人公。ある少女との出会いや施薬院での日々が、少年に生きる光を与える。学びたいという思いは父から受け継いだ血であり、希望の象徴でもあるだろう。病の恐怖、施薬院の人々の献身が、コロナ禍の今とても身にしみる。 2021/03/08
真理そら
68
藤原4兄弟を全滅させるほど天然痘が猛威を振るった天平9年の夏、父は役人として遣唐使船で唐に行ったきり4年も帰ってこない、その間に父の兄弟の家を追い出された主人公・千広と母。母も天然痘で失ってしまった千広は唐に自分の意志で残ってしまった父への反発や世間への反発を持ちながらもたくましく市で生きている。人生に絶望している少年が宿奈やあとに出会って自分の中の純粋なものを取り戻していく過程を描いた児童書。あと(安都)の一途さが主人公やヒロインをしのぐ存在感がある。『火定(澤田瞳子)』と同時代を描いている。2020/08/26
がらくたどん
53
澤田瞳子さんの『火定』を読む中で読書家様からご紹介頂いた児童書。筆者は古代・中世が舞台の児童文学が多い作家さんだが読むのは初めて。奈良の都に大陸から天然痘が持ち込まれ殿上人も下賤も区別なく病に斃れる中、父は唐の留学から帰らず母を亡くして孤独に荒んだ心のままに呪い石や偽護符を売って生きる少年千広の物語。自暴自棄な心の裏側で抑えきれない学問への渇望。拾った石と分かっていても想いが籠れば護符になると言ってくれた少女への思慕。ただ真直ぐに病者を労わる幼い孤児への苛立ちと共感。少年の心にいつか灯はともるのか。傑作♪2025/10/07
ヒラP@ehon.gohon
33
疫病が流行り、人々の混乱と不安に満ちたな奈良時代を舞台に、読み言えたら清々しい青春物語となっている、不思議な作品です。 当時の社会事情を踏まえながら、現代からタイムスリップしたような軽快さを感じました。 千広と宿奈の関係がなんとも、読む側をくすぐるように描かれていて、最後まで目が離せませんでした。2023/01/15
マツユキ
23
天然痘が流行する奈良時代、母を亡くし、遣唐使の父は帰って来ず、一人で生きる少年、千広の物語。世を恨み、荒んでいた千広が、出会いや別れを通して、悲しみ、立ち直っていく姿に感動しました。馴染みのない奈良時代ですが、解説を読んで、なるほど〜。解説者の、例えば…の続編、面白そう。2022/06/28
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