内容説明
日本が戦争へと傾斜していった昭和初期にあって、ひとり敢然と軍部を批判し続けた石橋湛山(後の第55代内閣総理大臣)。その壮烈なる言論戦を、戦火を煽りに煽った大新聞(朝日新聞、毎日新聞……)との対比で描いた名作。
――暴走する軍部に自らとすっぽりと身を寄せ、国際的孤立へと世論を導いたマスコミ。長引く閉塞感から、「乱」を望んだ一般大衆……。満州事変に端を発して、破局への道を踏み出した日本の一大転回期の真相を、“歴史の証人”湛山を通し、大ベストセラー『昭和史』の著者が初めて明らかにする。
※本書は2008年1月に東洋経済新報社より刊行された『戦う石橋湛山(新装版)』を電子書籍化したものです。
目次
序章 その男性的気概
第1章 「大日本主義」を捨てよ
第2章 統帥権干犯の残したもの
第3章 日本は満洲を必要とせぬ
第4章 理想国家とは何なのか
第5章 天下を順わしむる道
終章 醜態を示すなかれ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Willie the Wildcat
17
ジャーナリズムの本質を問う。事実に基づく客観性と公共性。第二次大戦の前・中・後の時間を横軸、そして、石橋氏のジャーナリズムを縦軸。結果は、反比例かな・・・。世論(売上げ)という数字に踊らされ、”本質”を失う過程。軍との力関係の逆転も、ある意味当然かもしれない。挙句、国際連盟に、全国新聞132社が連名で抗議?!戦後の反省が、どこまで真摯になされたのかも疑問・・・。”反比例”の過程が興味深い一冊。2013/12/07
Tomozuki Kibe
4
以前から気になる政治・経済思想家石橋湛山。本書は彼の言論を満州事変から日中開戦までを切り取る。 この時代に軍の帷幄上奏権や統帥権を正面切って批判しているのはすごいし、また他のマスコミの弱腰っぷりは歯痒いばかり。 暴走を止めるどころか煽り立てていたのはマスゴミであり、国民であった。逆にどれほど政治に無力さ・経済に暗さを感じていたのか。この辺現在と照らし合わさざるを得ない。 それだけに「プラグマティズムの裏打ちされた湛山の正論」が正論であるほど歯が通らないのだ。 2023/05/03
三上 直樹
4
戦前はジャーナリストとして、戦後は政治家として小日本主義と平和を希求した石橋湛山の評伝を、今だからこそ読了。 満州事変を機に転向した新聞社と湛山率いる東洋経済新報との違いも詳しく描かれているだけに、マスコミが真実を伝えないたった今と重なってしまいます。 マスコミも暴走する自民党も、この大先輩の存在を思い出してほしいです。2015/09/18
温故知新
2
戦争への道を邁進していた昭和初期。マスコミもこぞって軍部に迎合している中、湛山は批判し続ける。敗戦後は、そんな湛山なのにGHQにも睨まれる。こんな人がいたとは。惜しむらくは健康上の理由で総理を2ヶ月ほどで辞任されたこと。2024/06/26
じろう
2
半藤さんの書いた石橋湛山の本を櫻井よしこが解説書いててワロタ。2000年はまだいい時代だったんだなあ。2019/11/29
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