内容説明
歯科診療所の昼の休み時間、その男は現れた。突然歯痛に襲われた急患だった。男の名前を聞いて歯科医は愕然とする。大切なひとり娘を自殺に追い込んだ新劇の演出家だったのだ。千載一遇の復讐のチャンスに、医師は男を殺害、完全犯罪を目論むが……。(「わるい風」) 控え目だが着実に事件解決に迫る名探偵・鬼貫警部の推理力と人間的魅力。傑作短編集!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
116
これも鮎川さんの短編集です。ただ、主人公が鬼貫警部ということで彼が絡む話です。ただ名前が出てこないけれど彼らしき警察関係者が出てくるものも含まれています。倒叙ものなどが含まれていたり書かれた年代が1951年から74年までと幅広い状態なので、若干考えながら読みました。やはり鬼貫警部の長編ものと比べると不満が少し出てきます。2017/01/03
セウテス
90
【鬼貫警部・短編集】タイトルを含む5作品は犯人視点の倒叙作品が中心で、犯人のほころびを鬼貫警部がさらりと見つけて解いていく。この本当にチョッとしたミスとも言えない事に、気づくか見方を変える事が出来ると、アッと完全犯罪が瓦解していく。犯人が気に入らない事もあり、それほど難解なミステリではないものの、読み終えて気分が最高に良い。倒叙作品の面白さが、存分に分かると言うものだ。「夜の訪問者」「まだらの犬」は倒叙作品ではないが、与えられた情報から何故を推理し、「そうか」と真相にたどり着いた時の衝撃は癖になる程だ。2021/04/17
coco夏ko10角
20
9つの作品収録の短編集。ほとんどが到叙もので鬼貫警部がかかわる。『まだらの犬』がよかった。2019/08/12
ひで
8
満州で始まり、満州で終わり。2017/03/17
ホームズ
7
途中の短編は鬼貫警部が解決していないのもありましたね(笑)結構軽い感じのアリバイ崩しもあって簡単に楽しめた感じです(笑)一番長かった『まだらの犬』は事件が違う事件になってしまった(笑)後半2作の短編では鬼貫警部が警部補時代のハルピンでの事件だったのが興味深かった(笑)2011/01/08