内容説明
超がつく水嫌い。小学生の時にプールで溺れて救急車を呼ばれた。大人になっても、海・湖・川などたくさんの水を見るだけで足がすくむ。なのに、なぜか水泳教室に通う羽目に。悩みながら、愚痴りながら、「泳げる」と「泳げない」の間を漂った2年間。混乱に次ぐ混乱、抱腹絶倒の記録。史上初、〈泳げない人〉が書いた水泳読本。泳げるようになって、人生変りましたか、ヒデミネさん?
目次
1 水がこわくて仕方がない
2 浮いてくる私
3 水中で深呼吸
4 泳いではいけない
5 私ってきれい?
6 何のために泳ぐのか?
7 見てはならぬもの
8 愛の海
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
おいしゃん
89
「弱くても勝てます」が個人的にツボだったので、こちらも手に取ったが、やはり面白かった。弱くても〜は「さすが開成生は論理的かつ思考が面白い」と思ったが、その面白さはどうやら著者の物事の捉え方と、観察眼によるところも大きそうだ。どれくらい私は水が怖いか、を滔々と説く筆者が泳げるようになっていく様子を見ていると、自分も今すぐプールに行きたくなった。2015/02/04
ふう
88
水が怖くて泳げない作者が、泳げるようになるためにスイミングスクールに通った体験記。確かに水は怖いけど、ここまで怖がらなくてもと、いくらか呆れながら、でも作者らしい独特な言い回しにかなり笑いながら読みました。スクールで出会った女性たちとの会話は最高です。実はわたし、けっこう泳げるんです。中髙、水泳部でした。泳ぐのが楽しくてしかたありませんでした。なので、「泳げない人はどうすれば泳げるのだろう」と改めて考えさせられました。2022/03/29
Willie the Wildcat
76
習うより慣れろ!分かっちゃいるけど、心身の乖離は実体験アリ。コーチと著者の掛け合いも、真剣さと面白さの交錯にリアル感。特に、水への恐怖感の描写は印象的。加えて、著者の”気づき”の瞬間の喜びと挫折の揺れ戻しにも、(水泳ではないが)過去の類似体験を重ねてしまう。一方、流石に「ソープ級」の件はご愛嬌とするとしても、他者との比較の件は、習い事の過程の慢心が起因+本心なのだろうが、必ずしも後味は良くないかな。2022/12/16
ばりぼー
69
小学生の頃ツベルクリン検査でひっかかり、私が初めてプールに入れたのは4年生の時。飛び込みをしている仲間の隣で一人「ダルマ浮き」がクリアできず嘲笑された屈辱を思い出しました…。泳げないという現象を哲学的に考察して、まるで禅問答のような桂コーチとの火花を散らす対決が見どころ、読みどころです。息継ぎができずに苦しむ秀実さんに、「苦しければ我慢しなさい。呼吸しにここに来てるんですか?どうしようもなくなれば息は入ってきます。呼吸しようとしてはいけない。」「水泳とは昇天なのだ。」…よく読むと実に奥が深い(笑)2015/04/01
Nobu A
61
高橋秀実著書2冊目+成毛眞推薦本其の拾漆。07年刊行。カナヅチの筆者が水泳教室に通い、悪戦苦闘する様を自ら綴る点に本著の面白さがある。同時に「こんなトピックでよくこれだけ書けるな」と言うのが率直な感想。諧謔的な筆致は相変わらず。読書中、何度か吹き出してしまった。手続的知識でもある泳ぎ方を言語化している点に思わず目が行き、泳げない人の泳げる人への羨望の描写に気づかなかった視点を感じた。本人曰く泳げない人が書いたハウツー本だと称しているが、通常スポーツ版は豊富な写真付きだからね。本著は映画化されたみたいだね。2023/03/15




