国境を越える 滞日ムスリム移民の社会学

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国境を越える 滞日ムスリム移民の社会学

  • ISBN:9784787232786

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内容説明

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外国人労働者たちは日本に来て、滞在し、ある者は定住してある者は帰国するなかでどのような経験をしているのか。滞日ムスリム移民の活力ある実態・現実を、来日から帰国後までを射程に収めて明らかにしたフィールドワークの成果。

目次

序 章 滞日ムスリム移民の軌跡をめぐる問い 樋口直人
 1 かつて「外国人労働者」という問題があった
 2 滞日ムスリム移民の二十年をめぐる問い
 3 等身大の世界からトランスナショナルな現実を考える

第1部 移住と定住の分岐点

第1章 親族集団から個人へ──現代の遊牧民・トルコ系シャーサバンの日本出稼ぎ 稲葉奈々子
 1 親族ネットワークと個人
 2 シャーサバンの歴史
 3 シャーサバンたちの日本への出稼ぎ
 4 国境を越えたシャーサバン・ネットワーク
 5 帰国
 6 国境を越える個人と一貫性のないハビトゥス
 7 イランのモダニティ──自由になった個人の悩み

第2章 創り出される労働市場──交錯する求職ネットワーク 丹野清人
 1 職長ネットにおける移動のメカニズム
 2 職長ネットを超える移動──建設ネットとエスニックネット
 3 ネットワークへの包摂と離脱
 4 ムスリム労働者の移動と固定化する生活水準──結語に代えて

第3章 「ガテン」系への道──労働への適応、消費への誘惑 樋口直人
 1 出稼ぎブーム後の就労と生活──適応をめぐる問い
 2 構造的制約のなかでの創造的適応
 3 「ガテン」系への道──二つの生き抜き戦略
 4 「ガテン」系の余暇活動──職場への適応、消費での罠
 5 労働への適応が生み出す「ガテン」系文化の罠

第2部 移民コミュニティと越境するネットワーク

第4章 越境する食文化──滞日ムスリムのビジネスとハラール食品産業 樋口直人
 1 底辺からのし上がる──滞日ムスリムのビジネスをめぐる状況
 2 ビジネスマンとしての滞日パキスタン人
 3 ハラール食品産業の形成
 4 成熟・衰退市場での生き残り
 5 異郷で得られる故郷の味──次のステージはあるのか

第5章 トランスナショナルな企業家たち──パキスタン人の中古車輸出業 福田友子
 1 トランスナショナルなビジネスへ──パキスタン人による中古車輸出業の歩み
 2 日本発世界へ──中古車輸出業者の業務内容
 3 トランスナショナルなネットワークの形成と活用
 4 トランスナショナルなネットワークの形成──結びに代えて

第6章 イスラーム・ネットワークの誕生──モスクの設立とイスラーム活動 岡井宏文
 1 異郷のなかのイスラーム──殻を打ち破るチカラ
 2 日本でのモスク設立──宗教的基盤の整備
 3 コミュニティ活動の現状──モスクで育まれるもの
 4 イスラミック・トラベラーズ──タブリーギー・ジャマーアトの活動
 5 コミュニティの行方──ムスリムコミュニティの第二ラウンド

第3部 ふたたび越境するという経験──故郷に帰ったムスリム移民

第7章 滞日経験のバランスシート──帰国の経緯とその後の状況 樋口直人
 1 ほとんどのムスリム移民は帰国した、ではその後どうなったのか
 2 滞日生活への終止符──帰国をめぐる意味世界
 3 帰国後にのし上がる?
 4 滞日経験のバランスシート

第8章 消費社会のスペクタクルとトランスナショナリズムの逆説──バングラデシュの移民家族と開発される欲望 樋口直人/稲葉奈々子
ほか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

牛タン

4
主に'80年代終盤から'00年代はじめにかけて滞日していたパキスタン、イラン、バングラ移民の実態を追いかけたルポ集。移民の就労先として多いガテン系の世界を紹介したり、ムスリムの生活に同行し国内のムスリムネットワークを解明したり、日本に滞在していた移民たちの母国への帰国後の状況を追ったりと、面白い試みがたくさんなされている。世界的な資本の流れの一側面としての移民問題という切り口ではなく、個性を持った一人一人の人間としての移民たちのストーリーが描かれている。良い本だと思った2015/06/28

影実

2
積読本。主にイラン、パキスタン、バングラデシュなどのムスリム系移民の1980年代後半から2000年代前半にかけての動向を報告した一冊。日本での滞在の実態や構築されるネットワーク、母国への帰国後の動態をフィールドワークの形で調査している。ムスリム移民の活気あふれる活動や滞在時の苦労、調査した移民一人ひとりの人生に寄り添った報告は興味深い。専門的な内容ながら学術論文ほど難しくはなく、当時の移民の状況をうかがい知ることができる良著。2023/03/18

keepfine

1
6章 滞日ムスリムは宗教的要請に従って自力で宗教的基盤を整えてきた日本で唯一のニューカマーといってもよい。モスクのような礼拝施設が受け入れる側の社会との関係性の中で、ムスリムとしての生活を守る機能が付与されている。移民社会でのムスリムにとってのモスクの意味とは、1信仰の場、2文化社会的価値の継承、3出会いの場、4教育の場、5アイデンティティの付与、6イスラームのプレゼンスの強調。イスラームは宗教としての側面を持つとともに、ムスリムの生活そのものを規定する生活規範とも表現される。2019/02/28

くろまによん

1
移民についての新しい視点を与えてくれる一冊。2011/01/26

みるくちー

0
著者の1人にいただいた本。 そうそう、そうなんよ。って感じの本。2017/10/03

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