内容説明
「あなたが天国へ行った瞬間を知ってたわ。だって真夜中にきたわよね、私の部屋に。ごめんねって泣きながら…」「兄弟、おれに黙って、なぜ先に逝った。バカヤロー!」親友の葬式で、勝手に死者との絆を強調する自己陶酔型の弔辞に嫌気がさした会社社長の本宮は、自分自身の生前葬を企画する。だが彼は知らなかった。妻の涼子が重い病に冒されて、余命幾ばくもないのを隠していることを……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
163
「生きてるうちに、さよならを」ああ、自然に心が震え胸を打つ何て詩的でセンチメンタルなタイトルなのでしょうね。本書の骨格は、長年の友人の葬式に出席した男が、金儲けを目論んで嘘八百を述べる輩達に怒りの鉄拳をふるい、それを機に自分は生前葬にしようと決意した思いを綴る手記風の物語ですね。本書には笑いの要素は欠片もなく生真面目で道徳的な物語がどんどん続くのですが、やがて愛のない妻子と逆に真剣に愛している愛人という構図が次第に逆転して行き最後に意外な真実が明かされます。殺伐としながらも哀愁が漂う結末に満足しましたね。2019/12/25
扉のこちら側
123
2018年183冊め。タイトルから、冒頭で出てくる生前葬にまつわる話であると思ったのに予想外の方向に向かっていった。ただ主人公に魅力を感じず、身勝手な振る舞いを重ねてきたにも関わらず妻の秘められた過去を暴くという展開に好感は持てなかった。2018/06/16
しんごろ
109
実に面白い!ワンマン社長が生前葬するかしないかの話、ところがいろいろあって、まさかの結末にしてやられたねf^_^;なんとなく赤川次郎さんが書きそうなストーリー(^^;)読みやすいしなかなかの作品だと思います(^_^)再読時のBGMはレッド・ツェッペリンかな2015/11/27
ゴンゾウ@新潮部
105
読み始めから終始主人公の身勝手さにイライラしていた。ワンマンな夫を支えた妻の秘められた過去。そして愛人の本当の陰謀。最後の結末。息子の独白で興ざめてしまった。ミステリーとしても中途半端。作者はこの作品で何を表現したかったのだろう。【ナツイチ 2017】2018/04/21
いつでも母さん
105
こんなラストなら知らずにいたい。途中まではウンウンと思いつつだったのだが・・読友さんのレビューとタイトルと表紙に誘われた1冊!自分のお葬式は自分のものではなく、残された家族の問題だと私は思っています。だから、余命を知りたい。そして、皆に感謝して身辺整理をしてから逝きたいな(笑)しかし・・本宮社長以下、誰にも感情移入出来ずに読了してしまった。息子はこれでいいのかなぁ。私には、ちょっとだけ不気味だった。2015/11/04