内容説明
水柿君は、N大学工学部助教授のままミステリィ作家になった。なんとなく小説を書き始めたら、すぐに書き上がり、それをミステリィ好きの妻・須摩子さんに見せたが、評価は芳しくなかった。しかし出版社に送ってみたら、なんと本になって、その上、売れた! 時間があれば小説を書き続け、幾星霜、いまではすっかり小説家らしくなったが……。
目次
第1話 「まだ続くのか?」「命ある限り(高笑)」的な悪ふざけからいかにしてミステリィに手を染めたのか着メロを鳴らす
第2話 いよいよやってきた人生の転機を脳天気に乗り越えるやいなやラットのごとく駆けだしてだからそれは脱兎でしょうが
第3話 小説家として世界に羽ばたくといって本当に羽ばたいていたら変な人になってしまうこの不思議な業界の提供でお送りします
第4話 サインコサインタンジェントマッドサイエンティストサンタクロースコモエスタアカサカサントワマミー
第5話 たまには短いタイトルにしたいと昨夜から寝ないで考えているうちに面白い夢を見てしまった。ああ、そろそろ秋だなあ。そこで一句。短めにタイトルつけたら秋かもね。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
145
本書でも森氏は自分の思いの丈を存分に語っている。これほど作者の嗜好が、思考がダダ洩れしている作品もないだろう。まさに気の向くまま、思いつくままに書かれている。この第2編目では水柿君≒森氏が小説家になったことで訪れた環境の変化が主に描かれ、恰も私小説かつ備忘録でもあるかのようだ。奥様の何気ない提案から小説を書き、あっという間に売れっ子作家になってお金持ちになる。本書を冷静に読める作家は果たして何人いるのだろうか。私が同業者ならば自分の境遇と照らし合わせて身悶えするはずだ。ある意味本書は作家殺しのシリーズだ。2020/04/01
Rin
62
電子書籍。久しぶりの水柿助教授、な~んにも考えずに読むつもりが、駄洒落の不意討ちに思わず真剣に読み返して考えてしまう。今回はついに小説家デビュー!そこまでいくのも紆余曲折。話がいろんな方向に飛びまくり、もとが何の話題だったか忘れることも。締め切りもだけど、サインのお話は根が真面目な水柿くんが微笑ましい。須磨子さんとの掛け合いも前回同様、微笑ましくて。後半の水柿くんの、頭のなかに眠る様々なプロットは、ちょっとよく分からない(笑)物もあればにまにましてしまうものまで。このシリーズは独特の味わいが癖になります。2019/10/06
KAKAPO
49
水柿助教授と彼の妻である須摩子さんの視点を借りて森博嗣先生ご自身の日常と逡巡を描いた小説風エッセイ第二弾。書かれていることの多くは『小説家という職業』と重複しているのだが、この作品の魅力は、森先生が自分自身の思考や感情を客観的に認知し表現しようとしているところで、このメタ認知の視座・視野が森ワールドの源泉なのだ。小説ではないが(小説という形を呈してはいるが)、読者は時間が過ぎることを忘れて物語に引き込まれている自分を発見することだろう。中には私のように電車を乗り過ごしそうになる人もいるのではないだろうか?2016/12/01
神太郎
47
脱力シリーズ第二弾(正確にはM&Sシリーズ)。無駄のない理路整然とした文章を書けるのに、このシリーズは脱線に次ぐ脱線、この文章、この小話はいるか?の連続。駄洒落や古いネタが多分にあるため、面食らう人間やうわぁと投げ捨てる人間いることだろう。そして、それすらも森博嗣の思うツボなのでしょう。でも、自伝的小説なのでそういう演出もありか。だって「小説」なんだもの。今回はデビューまでの経緯を虚虚実実で語りあかす。奥さんとの掛け合い面白いし、奥さんに認めてもらいたくて…という動機も可愛らしく人間味がある。2022/03/02
akira
38
水柿君第2段。 もー止まらんです、脱力系かつ知的なお笑いを見ている感覚。 今回は、水柿君がうっかり小説を書いちゃって、さらにデビューしちゃったあたりがわりと詳細に書かれている。動機が可愛い。しかも所謂「作家の先生」の視点じゃなく「小説を書いたこともなかった水柿君」視点のままなので、思いっきり疑似体験できた。 しかし、水柿君の経済感覚がすごい。 他の感覚もすごいが…須摩子さんいい奥さんです。 さぁ最終巻へGO。 「僕ね、お金に困ったことがないんだよね」2013/03/14
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