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内容説明
レンブラント、ベラスケス、フェルメールら一七世紀のほとんどすべての芸術家に大きな影響を与えた巨匠、カラヴァッジョ。殺人を犯し、逃亡の末に果てた破滅の生涯と、革新的なバロック美術の傑作を読み解く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
244
カラヴァッジョの生涯の足跡を追いながら、それぞれの縁の地に遺された彼の絵を関連作品を交えながら語ったもの。出発はロンバルディアのカラヴァッジョから。1432年、この町の郊外で1人の農婦の前に聖母が現れたそうである。その地は「聖母の聖域」として教会が建てられた。我らがカラヴァッジョ(ミケランジェロ・メリージ)が生まれたのは、それから150年ばかりを経た1571年のことであった。彼のそれからの生涯を思うと、聖母からは遥かに隔たっているようでもあるし、その天賦の才は奇跡的な恵みを受けているかのようにも見える。⇒2025/09/13
はたっぴ
87
連休後半にカラヴァッジョ展を鑑賞した。そして余韻に浸りながら、数日かけてこちらの著書を読了。著者自身が情熱的な方らしく、カラヴァッジョの闇の部分にもスポットを当てて詳細に記している。絵画展の音声ガイドでは「カラヴァッジェスキ(追随者)」という言葉が何度も出てきたが、この本からも多くの画家達に影響を与えてきたことがわかる。光射す宗教画に眩しさを感じ、静物画(果物)を前にしては息をのみ、ふと手を伸ばしたくなるほどの実在感に呆然。短く波瀾万丈な人生だったようだが、その生きざまが作品に投影されており見事だった。2016/05/12
zirou1984
44
読み所は三点。一つは、17世紀を代表する芸術家・カラヴァッジョの生涯を辿りながら、襲撃や殺人といった行為を幾度も犯しながらも彼を守ろうとする者は後を絶たなかったその人間性について掘り下げている所。また、構図やモチーフ、時にその設置された環境といった要因から絵画を読み解く方法をわかりやすく教えてくれ、その革新性についても明らかにしている。そして何より、著者自身の人生を決定付けた芸術に対する、深い理解と愛情が読んでいてしっかりと伝わってくるのが何より嬉しいの。絵画を見るという行為は、こんなにも凄くて面白い。2016/04/07
Nat
36
図書館本。面白かった。カラヴァッジョの生涯と共に作品を紹介。作品の変遷がよくわかる。波乱の生涯だったが、著者が述べているように、天才の一生というのは最初から決まっていて、若くして没する天才はその短い生のうちに円熟と老成をむかえ、すべきことをすべて終えて死ぬのである。カラヴァッジョの一生はまさにそんな一生だった。2023/10/06
松本直哉
26
「リュート弾き」の絵に書きこまれた楽譜はジャック・アルカデルトのものらしいが、この画家と比べたくなるのはむしろ、ほぼ同時代に生きて、殺人の罪を犯したことでも共通する作曲家ジェズアルドであり、二人ともマニエリスムとバロックのはざまに生きて、前人未到の芸術的冒険を成し遂げた。カラヴァッジョの、晩年になるにつれて濃くなる闇はジェズアルドのテネブレの暗黒に似て、死への距離の近さを感じさせるし、画家の絵を斜めに横切って左右非対称をもたらす光線は、作曲家の不協和音に満ちた不安定な和声を想起させないだろうか。 2023/01/08
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