内容説明
鉄道ファン必読。JR北海道は民営化から20年、ローカル線廃止の危機に、なんと、線路でも道路でも走れるDMV(デュアル・モード・ビーグル)を開発してしまった。劣悪な経営環境のなか、フラノエクスプレスなどでリゾート列車ブームを先駆け、雪や極寒に耐える車両、乗り心地と効率の両立などなど。奇想天外のアイデアと斬新な技術を生みだした「北の車両屋」たちの奮闘を描く。
目次
第1章 JR北海道の宿命
第2章 DMV前史・七五年前からの挑戦
第3章 アイデア満載の試験車完成
第4章 DMVが車検を取った
第5章 「北のハンディ」を活かした開発の系譜
第6章 マイクロバス転用ゆえの弱点が
第7章 営業運転への道「小さく産んで大きく育てる」
第8章 新たな公共交通になれるのか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kotte
14
事業化を断念してしまいましたが、技術屋の熱い想いがこもった車両だったんですね。どこかの会社で陽の目を見ることはないんでしょうか?ただ、DMVを選ぶならバス転換でいいじゃないのか?とも思いますけどね。2017/09/17
雲をみるひと
8
10年前に出版されたDMVの開発記。概ねDMVに肯定的な論調だが、それでも当時から課題が山積していたことが読み取れる。DMVは、開発者のJR北海道自体に他の問題が続出して技術の深化が進まない不幸な面はあったが、結果的に出版時期はDMVを新技術として紹介するには少し早かったのかもしれない。文中のJR北海道の前向きな社風の強調も今となっては少し違和感を感じる。2019/02/08
moonanddai
1
事業化を断念した後に読んでしまったことで、多少トーンは下がってしまいましたが、「ものづくり」にかける技術者たちの熱意には頭が下がります。ただ、完全文系の頭ではその技術(DMVのみならず振り子列車などなど)の難しさの本当のところは分からないのですが、様々な法律の規制を潜り抜けるという苦労みたいなものはよく分かります。バリアフリー法まで関わってくるのですね…。それでも国を含め多くの支援もありましたが、それはこのDMVの内容より、それにかける姿勢みたいなものに対する期待みたいなものだったということでしょうか…。2016/01/24
k6pn
0
利点は既存の路線を利用できる。車両本体、設備の維持費ともにコストを低くできることなどのようだ。 潜在能力も高そうだし、今後もDMVの動向に注目したい。2012/12/30
jinrikiplane
0
「夢の技術」のひとつ、汽車+バスなDMVとそれを開発したJR北海道の話。技術もあれば発想もある。羨ましい!/ただ発刊当時とあまり状況は変わっていないように思う。新制御方式「ATACS」が試験に近頃入るくらいか。数年先ではなく十年先の技術なのかもなー2011/12/11