怒りの白き都＜新装版＞

著者名：西村寿行【著】

徳間書店（2016/04発売）

• ISBN：9784198926366

内容説明

出世を断たれ、妻にも見離された商社員・山岡。憂さ晴らしは休日の猟。けもの路を辿り、洞窟の底に妖しい光に包まれた宮殿を発見した。紛れ込んだカップルの男を射殺し、女を性奴隷にする。生の充足感が甦った。狂気の長篇ハードロマン!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[学級ぶんこ]

手元本。寿行氏、相変わらずの欲望物。読んでいてムカムカしてはくるんだけど、ここまで本能（？）をさらけ出せたら人間は確かに幸せかもしれない、などと思えてくる。お金を稼ぐとか、社会とつながるとか、子孫を育てるとか、気がついた時には課せられていた重荷から解き放たれた状態で、あげく奴隷まで飼えちゃったらそれはもう至福であろうさ。私が時に、大好きな人と二人で離れ小島で生活したい、などと妄想を膨らますのとさして変わらないレベルの妄想を、偶然にしても実現させちゃった人の物語なので、ムカムカしつつ羨ましかったのも事実。

2016/03/27

[毒モナカジャンボ]

主人公も脇役もほぼカスしかいないという素晴らしい小説で、うだつの上がらない無能でさえある底辺サラリーマンの山岡がジャングルの狂王になっていく。男たちは絶対有利な立場でのみ女に暴虐の限りを尽くすが、不確実な場所で法を破る時はなんとも弱々しく頼りない。そういう時は中田が気合を入れてくるのだが中田は頭が悪い。逆に女はじっと雌伏し奪える時に何もかも奪っていく。京子というキャラクターが象徴している。則子と山岡の二転三転する極端な主従関係。西村寿行の暴力一元論的世界観が十全に表現されている。山梨県警が無能過ぎて笑う。

2019/09/11

[ごま猫]

胸糞悪い話だったけど、宮殿が出来上がっていくところはちょっとワクワクした。秘密基地って、ときめきます。

2013/07/10