内容説明
ウオッカ、テキーラ、日本の焼酎など、世界中のすべての蒸留酒は、9世紀にイスラームで錬金術のために発明された蒸留器「アランビク」からはじまった。メソポタミアからヨーロッパにもたらされた「液体のパン」ビール、ペストの恐怖が育てたウイスキーとブランデー、飲料水代わりだった大航海時代のワイン、冬の寒さが生んだ奇跡の酒シャンパンなど、世界をめぐる多様なお酒の意外な来歴と文化がわかる、おもしろ世界史。
目次
第1章 酒との幸せな出会い
第2章 文明は酒づくりに熱心だった
第3章 イスラーム世界から東西に伝えられた蒸留酒
第4章 オーシャンと航海がひろげた飲酒文化
第5章 近代社会が育てた酒たち
第6章 酒は巨大化する人工空間を満たす
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひろき@巨人の肩
22
酒と人の長く深い繋がりにまず驚いた。身近にある酒を切り口にすることで生きた世界史が学べることは面白い。そしてここまで語れる著者の深い知識に感銘した。酒は保存の効く醗酵食品として生まれ、世界各地の土地にあった食材で醸造酒が作られた。中世イスラムで蒸留器が開発され蒸留酒が生まれる。大航海時代では酒が船上では貴重な食料であり、航路が開けることで食卓革命が起きた。禁酒法時代のアメリカでアルカポネが暗躍、酒のグローバル化としてカクテルが生まれた。2015/10/29
クナコ
14
再読3回目。古代から近代までの酒を、醸造酒、蒸留酒、リキュール、カクテルに大きく分類し、同時代の歴史的背景を踏まえて興味深く説明している。比率的に醸造酒、蒸留酒の説明が多く、カクテルは知っておけば楽しいおまけ程度。名前だけは知っている各酒の生産地から原材料、発祥や流行の要因まで、駆け足ではあるが細かく学べて雑学本としてかなり優秀。それぞれの酒同士の流通上の関係性なども興味深い。これでそれぞれの代表的ブランドの酒瓶写真と巻末に全酒網羅のイベント年表でもついていれば文句なしだといたいが文庫でそれは欲張りか。2018/09/10
かりんとー
10
人類は酒と共に。2017/05/13
ふぁの
8
世界各地の酒の誕生から、カクテルを始めとした現代の酒事情までを、世界史に沿って網羅した本。文化の違いにより誕生した個性豊かな酒が、中東での蒸留器の誕生や、交通網発達などのイベントにより改良され、酒文化に新たな彩を与えた。なぜ世界中の人々がここまで熱狂的にアルコールを求めるのか、その一端が垣間見えた。私はドイツ出張で飲んだビールの美味しさが忘れられず、ずっとビール党である。一杯のビールが誕生した背景を想い、しみじみ飲むのも面白そうだ。酒が飲める体質でよかった。2020/04/17
nappyon
8
酒の薀蓄本でもあるし、世界史を学べる本でもある。この二つの方向性がいい具合に混ざり合っており、楽しく読めるし読んでいて飽きなかった。世界の歴史を五つに区切り、それぞれの時代の特徴と酒を結びつけて語っている。酒は世界史上の重要な一役者なのだなぁと感じた。これを読んでからだと、バーなどでの酒選びが楽しくなりそう。2015/02/02