内容説明
昭和51年に福岡県で発生し、日本列島を震撼させた「一家四人惨殺事件」。満州で生まれ、極貧のなかに育ち、あらゆる辛酸を嘗め尽くしたあげく事件に至った一人の男の姿は、読むものの心を揺さぶらずにはおかない。ミステリー界の雄が渾身の力で対象に肉薄し、その謎と背景とを解き明かした、日本版『冷血』ともいうべき大著。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
391
★★★☆☆ 実際に起こった殺人事件で死刑判決を受けた男の半生を描き切った実録物。 島田さんの熱意は感じるし、秋好英明の悲しい人生には実に興味をそそられた。 ただ出版当時現に生きていた富江のことを殺人犯のように書くのはやり過ぎにも思う。完全な名誉毀損ではないか。 フィクションなら凄い大著になり得る作品だが、秋好のことを被告と読んだり、初歩的な用語のミスは気になった。それに、裁判は証拠に基づいて審理されるものなので、秋好の主張は通らないのが当然である。指紋データの証拠開示は今なら即認められるがこれも時代か…2026/04/04
流竜会
42
渾身の793枚。あとがき含む。あとがきを読まないと本作は完結しない。この時代は、作中にもあった「連合赤軍」や「青酸コーラ無差別殺人事件」「三菱銀行籠城事件」等、世間を震撼させた事件の多かった時代。さすがに前時代的な人権無視の冤罪は影を潜めたかもしれないが、教育、家庭環境の格差の波をもろにかぶった年代が「大人」になった時代。英明の人を信じる心、富江の幸せを願う心は、共振する時間が短すぎて同時に濃密すぎて、相互憎悪にまで落ちたのかもしれない。あとがき最後の1行に、この国の、私たち一人一人の課題を見ました。r2015/06/09
ブラックジャケット
13
昭和51年福岡県飯塚市で起きた内妻一家四人殺害事件の犯人秋好英明の半生を克明に描いたノンフィクション。英明自身は満州で生まれているが、大分県に実家があった。弟を亡くす悲劇を経て大分に引き揚げ。英明の個人史なのだが、著者は日本の戦後を濃密に書き加え、英明視点から貧乏日本人の実像を描いていく。行き着いた果ての殺人事件だが、著者は英明の主張に賛同した。内妻の富江が三人殺し、自分の殺人は一人だけという。詳細に事件当夜を再現し、英明、富江の言動を追う。本の裏表紙に日本の「冷血」と評した惹句があったが、納得の巨編。 2021/06/27
Ayah Book
13
兎に角長くて島田荘司さんの熱量を感じられるノンフィクション。一家四人を殺害したとされる秋好英明、果たしてその真相は?という内容。事件よりも序盤で語られる少年時代の描写に涙。。。こんなに頑張って生きてきた少年が何故?と人生の虚しさを感じた。2019/08/19
ひで
13
片方の意見だけでは、判断のしょうが無い。真実は、本人達にしか解らない。2016/09/19




