内容説明
たった一人で患者宅を訪れ、医療行為から生活面のケアまで全てをこなす「訪問看護師」。在宅介護や在宅死が大きな注目を集め需要が高まる中、その数は急速に増えつつある。そうした数ある訪問看護ステーションの中でも最先端を走るのが聖路加病院だ。11人のナースたちが昼夜を問わず飛び回る。終末期医療から難病の小児まで――「よりよく生きることとは何か」に正面から向き合う彼女たちの等身大の姿を描く。
目次
第1章 訪問看護師という仕事(新人では務まらぬ;八〇歳の母が看る中年息子 ほか)
第2章 カリスマ・ナース(「まるでホステスみたい」;話しているようで引き出す会話術 ほか)
第3章 忘れられないケース・ファイル(四十代母の“癒しの子”;呼吸器を着けた「寅さん」 ほか)
第4章 家で死ぬということ(「最後まで自宅で」;「墓も葬式もいらない」 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
117
「なんで僕だけ障害を持って生まれてきたの?」…訪問看護という仕事。病棟の看護と違い、患者の自宅を訪問し、たった一人で処置をしなければならない。重圧は強く感性がより重要になる。柔軟な心、人の痛みを感じられる心、患者の心の一線を踏み越えない感覚、心の中に沢山の引き出しがあること。手先も心も器用であること。家族を理解する心も必要…。この本を読み、生前の祖父母の言葉を思い出す。まだお迎えが来ない…と。どちらも自らお風呂で身を清めてそのまま旅立ちました…。私たちは医療従事者に支えられています。感謝の念に堪えません。2021/02/06
佐島楓
58
この本を読んで考えさせられることが多々あった。誰だって慣れ親しんだ自宅で療養したいと思うのは自然なことだと思うが、介護する家族にはどうしても負担となる。それをサポートしてくださるスタッフさんたちひとりひとりにもさまざまな背景がある。後悔のないように生き、また看取りをする。なんと難しいことなのだろう。2016/07/31
カッパ
19
看護師のノンフィクションの話は少ないので興味深いと思った。2007年と11年前の本なのでまたいまは変わっているのだとは思う。押川ナースマネージャーさんや高沢洋子さんのような優れたリーダーがいないと難しい。病棟よりさらに。個性を大切にしながらさらなる技術と知識をつける。先は長そうだ。2018/06/21
けんとまん1007
18
QOL。そんなことを思った。看護師さん自身で、いろいろ判断が必要となるということ、この点は書かれているとおりで、生半可なことではないだろうと思う。そこにたずさわる看護師の方たちが描かれているが、ご本人だけでなく、患者さん本人やご家族の有り様も大きな影響がある。これからの時代、こういう視点が重要になっていくのだと思う。2015/04/05
B.J.
12
●第二次大戦中は米国系の病院であったため白眼視された時期もあったが、東京大空襲では米軍機による爆撃をほとんど受けなかった。そのために築地一帯だけは聖路加国際病院のおかげで、1つか2つの間違って落とされた焼夷弾以外、被害はほとんどなかった。 ●旧病院は1992(平成4)年に、全部個室の病棟に建て替えられ、2002年に発足100周年を迎えている。 ●ベッド数520床に対し、看護師数は実に637人。これは一般病院の約2倍。・・・本文より2020/03/14