内容説明
ES細胞ねつ造が,韓国の社会をゆるがした.国内でも国立大学や一流研究所における論文ねつ造・データ改ざんの疑惑,研究費の不正運用が,世間を騒がせ科学システムを脅かす.社会からの要請を前に,病的症状を現しているかに見える科学は,今後どのようにあるべきか.研究の第一線にあった著者が,問題の根源から考察する.
目次
目 次
序 科学の「社会化シンドローム」 ──成長した科学が向き合う問題群
1 ミスコンダクト ──科学システムを蝕むガン
2 ピアレビュー ──科学論文の品質保証システム
3 STSとアウトリーチ ──科学と社会の新しい関係の構築
4 科学をめぐる競争性と不確実性 ──科学の知財化とフロンティア
5 人材需給と研究環境 ──若手のキャリア問題と大学の変容
6 科学の向かうところ ──社会化シンドロームを超えて
あとがき
付記──本書発刊から七年を経て
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
calaf
5
科学技術と社会との関係...確かに特に最近、科学技術の規模が大きくなり、社会への有益/有害な影響は大きくなる一方。そこで、科学技術者とその他の一般社会人の両方が、注意するべき点、考えておくべき点などがまとめられています。切ろうとしても切れない関係にある両者、、、確かに難しい関係かもしれません。2013/01/24
takao
3
捏造・改ざん、説明責任2024/01/10
yokkoishotaro
0
不正処理やポスドク問題など取り上げた本書は2007年に書かれていたことに驚いた。未だにこの問題が後を引いていると思えば何も進歩はなかったのかとがっかりする。最近は「社会実装」につなげる研究が多く目につくようになった。これも社会化シンドロームと言えるのではないだろうか。社会にとらわれない自由な学問ができる空間を守れるよう頑張りたい。どうすれば良いのやら。2018/12/16