内容説明
目の前にいる男性の姿を、ケイトは息をつめて見つめた。夫だったトレント――私が生涯で愛したただ一人の男性だ。だが十二年前、生後二カ月の一人娘が誘拐されたとき、悲しみの淵に沈む私を彼は慰めてもくれなかった。あろうことか、事件が起こったのは私のせいだとさえ言って……。ケイトはその後、独自に調査を続け、事件解決の糸口を得る。それを伝えようと、離婚以来初めてトレントのもとを訪れた彼女に、トレントは冷酷な表情で言い放った。「もう、すべて終わったことだ」ケイトは言葉を失い、その場に立ち尽くした。頭のなかによみがえる、トレントとの甘い記憶にさいなまれながら。★シルエット・ラブ ストリームで大好評のミニシリーズ『狼たちの休息』を三月に引き続き、シルエット・ディザイアよりお届けいたします。誘拐された娘、そして別れた夫と再会したケイト。しかし、空白だった時間はあまりに長すぎて……。★
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
糸車
20
誘拐された娘を亡くなったものと思うことで前に進もうとしていたトレント。娘はどこかで生きていると信じることで自分を支えて捜査を続けていたケイト。様々な行き違いで離婚したふたりが12年経って再会。シリーズ物とはいえ1話完結なので順番を気にせず読んでいたら、たまたまこれの後で前話を読んでしまった。同じように我が子を誘拐された親を優しく強く支えるケイトの苦悩を目の当たりにして辛かった。少々ぼんくらに思えたトレントが離婚後、ケイトのために買った贈り物が素敵だったのでちょっとほっこり。お互いがただ一人の人だったのね。2017/10/07
akiyuki_1717
2
シリーズ物ですが完全な一話完結で、情熱の記憶に出て来た親切な女性探偵がヒロインです。11年前に誘拐された娘を探すために警察官から探偵になり、ようやく娘の情報を手に入れることができ、娘の誘拐が原因で離婚した元夫に会いに行くところから始まります。こんな優柔不断だ夫になぜヒロインが熱烈に惹かれたのかも疑問でしたが、独断と偏見で物事を進めるヒーローの設定ですが、再会後は打って変わって物分りのいい優しい人間に生まれ変わります。ヒーローの伯母もヒロインの引け目から誤解していただけと分かり、最後は大団円で終わります。2016/04/05