内容説明
定年退職後、家に居る夫と息を詰まらせる妻。妻子ある男性と恋愛関係にある長女。神経症気味の無職の次男と、彼に〃救い〃を見出すその嫁。孫はまだいない。ありふれた家庭の風景の底から、ふと顔をのぞかせる人の怖さ……。それでも現実は、素知らぬふりで続いていく。表題作をはじめ、人と人との不思議な関係を精緻に活写して堪能させる芥川賞作家の傑作短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
深沢商店
5
表題作を含む短編集。大道さんの作品はどれも女性の登場人物が印象的。設定上ちょっと弱そうな女性でも、やっぱりどこかしら力強くてずるがしこくてたくましい。どの作品も福岡の方言で溢れていて、そういった強い女性たちとあいまって、九州の臭いが充満しているような本でした。2013/10/25
ゆっ
4
5つの短編集。全体的には私の知ってる大道さんよりソフトな印象を受けた。なんてことない日常生活をなんとなく書いているのに、何故か物語になっているんだよな。2014/11/04
なしかれー
1
日常生活を描く短篇。日常だけどそれは大切な一瞬で、その積み重ねがまさに人生となる。…博多弁なのかな。耳慣れず若干苦労。2008/11/08
マサチューセッツ。りん
1
やっぱり大道珠貴の本はおもしろいな~主人公がいつもねじれ曲がってるとこが好き2011/04/10
CEJZ_
0
1P16行。「しょっぱいドライブ」で芥川賞受賞でおなじみ、大道珠貴の短編集。大道珠貴という文字をタテに見ると、左右対称のようで対称ではない。前から一度読んでみたいと思っていた作家だった。福岡コトバの読解に少し苦労するが、わりと平仮名が多めで読みやすい。なるほど、サザエさんみたいだな。オチと深みがあるのかないのかわからない、稀有な読書体験。困ったことに解説はない。10年以上前、小説宝石に掲載されたもの。またこの作家の小説を読んでみたいと思った。2015/12/18