内容説明
第130回芥川賞受賞作品。高校に入ったばかりの“にな川”と“ハツ”はクラスの余り者同士。やがてハツは、あるアイドルに夢中の蜷川の存在が気になってゆく……いびつな友情? それとも臆病な恋!? 不器用さゆえに孤独な二人の関係を描く、待望の文藝賞受賞第一作。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
320
第130回(2003年)芥川賞。 女子高校生長谷川の初々しい視点と 心の動きが 清冽に描かれて 面白い。 男子生徒 にな川の憎めないキャラも 微笑ましい…ハツと にな川の微妙な距離感が 高校生の心象風景を うまく描いている。 何を考えているのか 理解できない戸惑い 苛立ちが 素直に読者に伝わる、そんな作品だった。2018/03/03
HIRO1970
297
⭐️⭐️⭐️⭐️12年前の芥川賞作品。綿矢さんはお初です。感覚系が鋭敏で傷つき易い若い頃の感じが良く出ていて懐かしくも愉しめました。最近は現代物で誰も死なない作品であるだけで良くやってると思えるようになって来ています。また機会があれば他の作品にも手を伸ばしたいと思えました。目をあわせずに蹴れる背中。目隠しして銃殺するような匿名性をチョット感じました。今風な攻撃時の感覚なのでしょうか。男子高では目を合わせて腹にマックで上下関係が決まっていた様に思います。共学の高校の話は未だに唯々羨ましいのみです。2016/04/20
優愛
248
「人にしてほしいことばっかりなんだ。人にやってあげたいことなんか、何一つ思い浮かばないくせに」仲間に入れてほしい、優しくしてほしい、もっと大人になってほしい――そうすれば私だって彼女達を毛嫌いしたりしない。でもそれは本当に大人って言えるのかな。大人という存在が無駄な情報を真に受けたりはせず、消化できるのだとしたら余り者の二人の考え方は思春期特有の強がりとも言えるはず。強がりを大人と言い張って孤独を確立しみんなとの間を壁で隔てるその姿が少しだけ愛らしい。淋しさは鳴る、こんな気持ちを私は知っている気がします。2015/02/10
kaizen@名古屋de朝活読書会
248
芥川賞】学級で仲間はずれの女子生徒の主人公。男子生徒のにな川。世相をうまく描写している。暗いところも芥川賞らしい。女性服飾誌を読むにな川。言葉を慎重に選びながら書いているように感じる。主人公の性格描写の一貫なのか著者の性格なのか。蹴りたい背中という標題がよく伝わってくる。2014/06/20
ひろちゃん
183
キュンと来た。この作家さんの文章好きかも。乙女心がかわいくて切なくて痛い。2015/10/26