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内容説明
庭の片隅で、都会の歩道のコンクリートの隙間で、雑草はひっそりと生きている。名も知らない草も多いが、子孫を残そうと懸命に生きる戦略には驚かされるものも多い。ハハコグサとチチコグサの花はどう違う?葉の小さいオオバコがなぜ「大葉子」なのか?ツキミソウはどうして夜に咲くのか?春夏秋冬の雑草の見つけ方、見分け方を一つひとつ写真と文章で紹介し、植物の生き方のふしぎを解き明かす。カラー130点。
目次
第1章 春を彩る雑草たち(タンポポ(キク科)
一個のタネが、六カ月で、何個に増えるか? ほか)
第2章 初夏に映える緑の葉っぱ(オオバコ(オオバコ科)
オシベとメシベのすれ違い ほか)
第3章 夏を賑わす雑草たち(ツユクサ(ツユクサ科)
アオバナの活躍 ほか)
第4章 秋を魅せる花々と葉っぱ(ヒガンバナ(ヒガンバナ科)
ヒガンバナはタネをつくらないのか ほか)
第5章 秋の実りと冬の寒さの中で(オナモミ(キク科)
「ひっつき虫」が生んだ、ふしぎな商品 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
74
ズバリ、読む図鑑。冒頭の32ページもあるカラー口絵の写真を見ながら、それぞれのプロフィールを、季節を追いながら読んでいくと、いつのまにか自然の植生にくわしくなれる。いわゆる雑草だけの話でも、植物の世界がかなりわかる。ところで、秋の七草の歌が旋頭歌であるとは驚きで、唱えてみるとそのとおり。ほとんど具体的に作品を知らない形の歌の中で、最も有名な作品ということになるだろう。聞きかじっただけの常識をひっくり返す、驚く話も満載。最大の収穫は、いつも見ている草の名前が、何種類かわかったこと。ぜひ覚えておこう。2020/05/04
たまきら
30
飄々とそこら中にある雑草が紹介されます。歴史的なことだったり、最新の科学だったり、そこから読み取れるトリビアもまさに雑多。面白かったです。2020/09/24
チャーリブ
29
雑草と呼ばれる植物を100種余り取り上げてそれぞれについて解説している。2007年初版ということもあり、最近の類書に比べると装丁の古さは否めないが、著者が植物生理学の研究者なので、その視点での記述は興味深いものが多い。たとえば、オオバコの項目。オオバコは「大葉子」が原義らしいが、ふだん見る葉は大きいとは言えないほど。しかし、人に踏まれない、日当たりのよい場所ではオオバコはのびのびと立ち上がり、大きな葉を成長させるという。そういう別天地を求めてオオバコは旅をしているのだろう。道草たちにも個性がある。○2021/10/04
まさむ♪ね
24
雑草は移動することができない。芽を出したところがどんなに過酷な場所であってもそこで生きるしかない。人間が踏みつけていくようなアスファルトの割れ目や排水口の中、あらゆるところで育つ雑草たち。地中深くに根を伸ばし少しでも多く養分を吸い上げ、葉を目いっぱい広げ太陽の光を浴びる彼らはただ生きることだけにその全精力を傾ける。生きるために生きている。誰の力も借りずに。生命尽きる最期の一瞬までその営みは変わらないのだろう。その崇高で神秘的な生命のきらめきは驚くほどに力強く、そして美しい。 2014/07/06
瀧ながれ
24
多くの植物が春に花を咲かせるのは、生きるには厳しい暑さの夏を、種の状態で過ごすためである。…目からウロコが落ちた。基本的には自分の花粉が雌しべに付かない形をしているが、ほかの花の花粉が手に入らなかったときには、自分の花粉を雌しべに付けるようにできている植物もある。…驚いた。おもしろいな、雑草の進化。じゃあ、四季がない土地の雑草は、違う進化をとげているんだろうな。興味深々。2014/04/22