内容説明
五世紀中頃、地中海に君臨したヴァンダル族。移動と戦いに明け暮れ、六世紀半ばに東ローマ帝国に滅ぼされるまでの足跡を、民族大移動の流れの中に活写。
目次
1 民族大移動の波涛のひとつ(前一世紀?四二九年)(流浪のはじまり;ゲルマニアとローマとのかかわり ほか)
2 アフリカ(四二九?四三九年)(当時のアフリカは…?;東へ ほか)
3 国造り…海賊国家?(四三九?四七七年)(前哨戦;本番、行動開始 ほか)
4 ポスト・ゲイゼリック(四七七?五三〇年)(宗教問題;フネリック ほか)
5 滅亡(五三〇?五五三年)(東の皇帝ユスティニアヌス一世;ゲリメル、その戦い ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
80
この本は昔読んだことがあり、読み友さんの感想を読んで再度引っ張り出してきました。ゲルマン民族の一部族がスペインからアフリカのカルタゴまで移動したということは驚きです。ゲイゼリックという男を主人公にした冒険物語のような感じです。この作者によるある程度の作り話的なところはあるのでしょうが、楽しめます。ほかのカルタゴや東ゴートの話も読みたくなります。2015/08/23
ゲオルギオ・ハーン
21
ヴァンダル王国を題材にした本。内容の正確さはさておき同時代の東ゴート王国やビザンツ帝国に比べて知名度が低く、どういう国だったのか知られていないヴァンダル王国のざっくりとした紹介としては読みやすい本。かなり著者の推測や思い込みはあるけれど、前半は建国の祖にして強力な王ゲイゼリック、後半はビザンツ帝国の名将ベリサリウスの活躍を魅力的に書いていて英雄譚のようだから歴史小説として読むのがちょうどいいかもしれない。2021/07/20
ホームズ
19
ゲルマン民族の大移動の時代に現れた国々についてはあまり授業とかでも習わなかったし関連した本も読んでこなかったので面白かった。ヴァンダル王国とは直接関係ないけど西ローマを滅ぼしたオドアケルが意外に有能な人物だったらしいというのは興味深かった。後半は東ローマ皇帝のユスティニアヌスによる攻撃の話がメイン。ユスティニアヌス自身についても知りたかったので良かった(笑)もっと歴史の勉強をしたかったな~。2012/11/19
aisu
16
ゲルマン系のヴァンダル族は安住の地を求めスペインからアフリカへ…。一時はカルタゴも制覇し、一大勢力となるが、東ローマ帝国に滅ぼされる。東ローマ皇帝ユスティニアヌスやその部下ベリサリウスなど、ローマ人の物語でお馴染みの方々登場。ゲイゼリックとテオデリックを対比させてみたりと興味深かった。2015/06/14
彬
11
民族移動の潮流のひとつにヴァンダル族がいた。といっても、この本を読むまでその存在を知らなかったのだけども。蛮族らしい(というと語弊があるだろうが)勇猛さから一転し、文化的享楽を知って堕落(弱体化)する過程は興味深い。どうもこの性質は人である限り繰り返されるもののように思う。建国してから滅びるまでの短い間に駆け抜けた繁栄と衰退は読んでみると明快で分かりやすい。そして最後の王の時代に合わぬ余命は、本当に本人にとってはどんなものだったのだろう…。しかし著者の文章とは相性が悪かったのか飲み込むのに苦労した。2013/05/16