光文社古典新訳文庫<br> ヴェネツィアに死す

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光文社古典新訳文庫
ヴェネツィアに死す

  • 著者名:マン/岸美光
  • 価格 ¥429(本体¥390)
  • 光文社(2013/12発売)
  • ポイント 3pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784334751241

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内容説明

高名な老作家グスタフ・アッシェンバッハは、ミュンヘンからヴェネツィアへと旅立つ。美しくも豪壮なリド島のホテルに滞在するうち、ポーランド人の家族に出会ったアッシェンバッハは、一家の美しい少年タッジオにつよく惹かれていく。おりしも当地にはコレラの嵐が吹き荒れて……。『魔の山』で著名なトーマス・マンの思索と物語性が生きた、衝撃の新訳。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

145
この作品は主に岩波文庫で読んできましたが、新しい訳で読みなおしてみました。岩波文庫もいいのですが、この文庫も現代的に読みやすくなっている気がしました。この本は原書でも読んでいてなじみが深く、さらにいつも映画とその主題曲を思い出します。ルキノ・ヴィスコンティ監督でダーク・ボガード主演でさらに美少年のビヨルン・アンデルセン、マーラーの交響曲第5番などが頭の中でイメージ化されます。いい本です。2017/11/05

扉のこちら側

120
2016年703冊め。【198/G1000】偉大な作家が美少年への恋にのめり込んでいく。やっていることはストーカーじみているけれど、作家の教養が高い故に、神話や名作からの引用が多々溢れる彼の夢想に引き込まれる。相手に届かない、誰とも交わらない思いは、形を変えた自己愛なのかもしれなと思わされる。しかし恋愛感情だけではなく、ひきつけられて逃げられない「美」の圧倒的な魔力的な力感じる。2016/09/08

青蓮

114
トーマス・マンは初めて読みます。正直、ここで展開される思想・哲学にはあまりピンとこなくて、掴みきれなかったです。高名な老作家であるアッシェンバッハはヴェネツィアを訪れる。そこで出会ったポーラドン人の美少年・タッジオに強く惹かれていくーー話の筋だけ見るとなんてことのない物語で、アッシェンバッハがやってることはほぼストーカー。タッジオに気に入られたいと理髪店で髪を染め、美顔の施術を受ける姿が健気というよりは哀れに見える。望みのない恋だったけれど、タッジオに出会えたことは、老作家にとっては幸福だったに違いない。2016/07/23

takaichiro

101
巻末解説の一番最後に記載のある”男女の性差を超え、人間の全体性”への心のざわめが本書のテーマ。年齢・性別に縛られず人を好きになるのは、衝動であり誰に止めることのできない自然現象。社会が人間の繁殖を求めるなら生殖が必要であり、社会規範として同性愛をご法度とするだろう。主人公は著名な小説家。富も名誉もあり社会規範に拘泥せずとも生きられる。心の自由度も高い。その老人をドキドキさせる存在が偶々美しく若い男性だった。同性に恋心を抱いた経験はないが、様々なことに敏感な人の気持ち・感情のパターンとして明確に理解できる。2019/07/06

鱒子

86
図書館本 コレラが猛威を振るうヴェネツィア。旅行で訪れたこの地で、ドイツの高名な老作家 アッシェンバッハは恋に落ちます。その相手とは、まさかの……。 人生の晩年にどんでん返しのように訪れた恋心。遅咲きの感情に振り回されるアッシェンバッハは、可愛くて切ないです。しかし、わたしも子を持つ身。もしもわたしがタッジオの保護者だったらと考えると、ジイさんの熱視線は怖すぎます。2020/04/16

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