内容説明
直人の幼い記憶はいつも現実離れしていた。だが、現実の世界で不幸な目ばかりに遭遇する彼はやがて、幼いころの記憶が本当と思うようになり…。人間の記憶を独自の世界で紡ぐ3つの連作短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
みっちゃん
82
【記憶破断者】の元ネタ、という事で読んでみたが、ますます混乱してしまった。足下の地盤がずぶずぶと崩れて埋まってゆくような、ざわざわした気持ち。混乱した頭を整理しよう、もう1度読み返すか、とも思ったけれども、この狂った世界にねじねじと、捻り込まれて、自分が壊れてしまいそうな危惧を覚え、やめておく事にした。2015/11/21
aquamarine
81
「記憶破断者」の二吉が本作に出ていたと知り、順番は逆ですが、手に取ってみました。3つの中編。「奇憶」二吉の友人でありダメな男、直人。彼が幼いころ見ていた景色を徐々に思い出し、最終的にたどり着くのは…。「器憶」直人の恋人だった女性と腹話術に夢中になった男性との話。このオチはなかなか強烈です。この後どうなったのでしょう。「垝憶」二吉が前向性健忘になった理由と、肉の秘密が少しわかります。実は3作のなかでこれが一番怖かったです。ひいっと叫ぶような怖さではなくじわじわと沁みる気味の悪い怖さ。でもこういうの好きです。2017/12/15
カムイ
46
記憶は曖昧なのだ、ここでの三っの記憶がおぞましく脳内をかきみだしで再度詰め込まれた状態で読了しました。【奇憶】はSFタッチのホラーでダメ男の半生なのだがブラックホールのくだりは分かりやすいがまだ証明はわかってないことが沢山ある、エントロピーもよくわからないカムイですが😓【器憶】笑えたが結末が怖い【垝憶】全体の物語を補完している、全てが繋がったと唸るカムイでした2024/02/05
じゅんぢ
34
失敗した。先に「記憶破断者」を読んでおくべきだった。どうやら話が微妙につながっているみたい。2018/04/25
Gemi
31
忌まわしい記憶で「忌憶」。さすがタイトルだけで期待値を上げてくる小林泰三さんことヤスミン。記憶にまつわるホラー3作の連作短編集。最初の「奇億」ではこの短編集の軸となる、並行世界やなんとなく分かるシュレディンガー方程式、とヤスミンワールド全開なのでファンは嬉しいし楽しめる。「器憶」ではもはや頭がクラクラして眩暈を伴う。ラストはゾッとする。そして「垝憶」。否が応でも「記憶破断者」を思い出してしまう。そう、本書でも書かれいたが映画「メメント」そのもの。どちらかというとマニア向け。ヤスミン読むなら他から読むべし。2018/11/06
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