内容説明
認知症高齢者やこども、知的障碍者の生活を観察しインタビューを重ねるうちに浮かび上がる彼/彼女たちの「固有の居場所」。彼らはなぜその場所にいるのか、居場所の選択とその要因を析出して、生活の場に「居場所」をもつことの意味を描き出す。「居場所」に関する膨大な質的データを精緻に読み解き、人と環境の関係性を思考する環境行動研究の成果。
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目次
序
1 人はそこに「いる」
2 「いる」ことの意味
3 環境からの影響を受けやすい人々と、その居場所
4 本書の目的
第1章 そこにいるということ
はじめに
1 人間・環境系研究の発展とその経緯
1・1 心理学分野における行動主義
1・2 心理学の視点からの「心理学的環境・行動的環境」
1・3 「生活空間」
1・4 心理学的生態学
1・5 生態学的心理学の視点からの「行動場面(behavior setting)」
1・6 認知心理学の観点からの「アフォーダンス」理論
1・7 建築決定論(architectural determinism)
1・8 相互浸透理論(transactionalism)
2 人間・環境系研究の流れの整理と、本書における人間・環境系の捉え方
2・1 既往研究に対する本書の考え方の位置づけ
2・1・1 本書の基本姿勢
2・1・2 人間・環境系についての既往研究に対する本書の位置づけ
2・2 「人間」
2・3 「環境」
2・3・1「環境」の定義
2・3・2 生活の場としての「環境」がもつ意味
3 本書の視点
3・1 生活の場、住まいというもの
3・2 「いる」ということ
3・3 「居場所」について
3・4 固有の居場所の抽出と固有の居場所の構成要素への整理
3・4・1 生活環境のなかでの固有の居場所
3・4・2 固有の居場所の定義
3・4・3 固有の居場所の選択要因
第2章 「居場所」を探るために
はじめに
1 認知症、発達途上、知的障碍
1・1 認知症の症状とその理解
1・1・1 「認知症」と「物忘れ」の違い
1・1・2 認知症の症状
1・2 こどもの発達と周囲の環境との関わり方の変容
1・2・1 こどもの認知能力と環境との関わり方の発達
1・2・2 認知心理学および発達心理学における空間とこどもの認知の発達
1・3 知的障碍と知的障碍者に求められるサポート
1・3・1 知的障碍の定義
1・3・2 知的障碍という障碍の特徴と求められる支援
1・4 認知症高齢者・こども・知的障碍者の共通点と、三者を比較する意義
1・4・1 三者の共通点
1・4・2 三者を比較する意味・意義
2 既往研究と分析の視点
2・1 既往研究
2・1・1 認知症高齢者の環境
2・1・2 こどもの環境
2・1・3 知的障碍者の環境
2・2 本書の視点
3 本書の目的
4 調査対象の選定
5 調査の手法
6 本書の構成
第3章 認知症高齢者の居場所
はじめに
1 本章の背景と目的
1・1 社会的背景
1・1・1 高齢化の進行と認知症高齢者の増加
1・1・2 グループホームの誕生と日本での急速な普及
1・2 理論的背景──関連する研究と本章の位置づけ
1・2・1 住まいとしての高齢者居住施設
1・2・2 グループホームの研究
1・2・3 認知症高齢者と環境との関わり
1・2・4 本章での分析の視点
1・3 本章の目的
2 調査方法と調査の概要
2・1 調査対象施設概要
ほか