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内容説明
「考えるとは曖昧な事実を掘り下げて具体的な対応策をつくりだすことである」「考えるとはあらゆる角度から多数の解決策を発想することである」「物の見方は権威や伝統というフィルターに遮られている」「優秀な者ほど自分の意見が正しいと思いがちである」「予想外の事態に備えるためには二重三重の手を打つことである」「物事には予兆がある。だから氷山の一角から全体像が読める」――。キャリア豊富な国際派弁護士が現場で鍛え上げた「物の考え方」を、七つのコンセプトに集約して説き明かす。本書ではとくに、「法的思考」(リーガル・マインド)の類ではなく、ビジネスや私生活に直結する「考え方の基本」を取り扱う。法律解釈だけの弁護士は非力である。経験に裏打ちされた思考だけが実生活の役に立つ。だから同じ弁護士でもベテランと若手とでは、考える力に将棋のアマとプロほどの差が出てくるのだ。
目次
第1章 話の根拠をまず選りすぐる―具体的に考える
第2章 「考えもしなかったこと」を考える―オプションを発想する
第3章 疑うことで心を自由にする―直視する
第4章 他人の正義を認めつつ制する―共感する
第5章 不運に対して合理的に備える―マサカを取り込む
第6章 「考える力」と「戦う力」を固く結ぶ―主体的に考える
第7章 今日の実りを未来の庭に植える―遠くを見る
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さきん
28
題名がいかにもハウツーで、「プロ」と「弁護士」という響きに品がなく、読む気が起きなかったが、実際に読んで見ると、想像以上に話が多岐にわたり、深い話があってよかった。弁護士に限らない、経営者や一般人にとっても大変役に立つことが書かれていると思った。この役に立つという意味が難点で、技術的なこと見れば、そうかもしれないし、やはり思考術と表現するのが適当と思われる。「考えもしなかったことを考える」、「そうでもないかもしれない」思考の大切さの章は腑に落ちることが多かった。2017/01/19
kawa
20
専門的知識をクライアントに提供する同様な立場にある自分にとって、箴言となること多数。とは言え、一読で身に付かないことは歴然。機会を得ての要再読本。「大きい組織ほど巨悪をなす。」薄々そう言う思いもあって至極納得。「目前の些事を過大視して、将来の大事を軽視」どうしてもそう言う傾向大。「複雑な現実を単純化し二分法で提示」に気を付けろ。「事件が深刻であればあるほど弁護士(専門家)によって違った判断をし、まったく違った結果になる」等々。2017/11/08
アイスマン
19
一義的な結論が導き出せるほど充分な判断材料がない場合において、足りない情報を自分の思い込みや経験則で補ってしまう事がしばしばある。 しかし、このように導き出された結果は、仮説に過ぎず、仮説には検証が要件である事を忘れてはならない。2019/08/27
おおにし
19
二分法のワナに陥らず、常にオプションを思考せよ。仕事では具体化する手順論を伴わない目標やスローガンに注意すること。日常生活では、例えば毎日1万歩を目標にすると挫折しやすいが、10分でも時間があれば歩こうという目標から始めれば習慣化できる。本書を読んで改めてオプション思考の大切さを認識した。2018/04/14
sayan
18
読書メーターで読んでらっしゃる方の感想を見て、面白そうと読み始めたのがきっかけ。ノウハウ本とは違うし、語り口も断定系で好き嫌いが分かれるかな。個人的には嫌いではなく、また、いくつか印象的な一文を見つけることが出きた。例えば、ライプニッツの言葉から「自然は飛躍しない」、また第6章の「考える力」と「戦う力」を固く結びつける、あるいはp.145の黒田官兵衛の人間関係力など、非常に興味深かった。2017/02/04