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内容説明
ニュートンもケプラーも錬金術師だった。客観性を謳う科学の登場は、たかだか数百年前のことである。近代産業社会が、オカルト理論に公共性を要請した時、秘術は「近代科学」として生まれ変わった。「万能の学=科学」と現代オカルトは、原理への欲望とコントロール願望に取り憑かれ、どこまで行くのだろうか。社会と科学とオカルトの三者の関係を探究し、科学の本質と限界に迫る。(講談社学術文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
14
オカルトという視座から科学と非科学の境、科学の限界を見つめ論じている。かつては秘儀的に継承され特権性を確保してきた知の体系としてのオカルトが、公共性や再現可能性を備え大衆化したもの。それが近代科学である、とする前半の科学史への視座は明確で合点がいきやすい。しかし、公共性や客観性を備えたことによって世界の原理、「かけがえのないこの私」という感覚を基礎づけたい人々がそこからこぼれ落ち、現代カルトやオカルトにその退路を見出していくのもまた現代である。そしてその現代のオカルトはむしろ近代科学に似かよっているという2016/07/05
おおかみ
12
科学の限界を指摘し、科学とオカルトの共通点、そして相違点を論じる。再現可能性・公共性を担保したことによってオカルトから脱した科学が、高度化・専門化するにつれ一般人にとってはもはや信仰の対象となったという。著者の盟友・養老孟司によると「当たり前のことをいっているだけ」なのだが(「解説」)、改めて考えると見えていなかったもの(それは実に決定的である!)に気付く。分かりやすさも備えた良書。2010/08/09
antoinette
4
批判が多いですが、啓蒙書としてはコンパクトにまとまっていて悪くない。確かに後半は尻すぼまりで、宗教やカルトへの考察は物足りないですが。「古さ」については、1998年の本を2007年に加筆修正したものなので、あまり責めるのは酷でしょう。……ところで、密林のレビューなども見ると(全てじゃないですが)的外れであったり直截でない批判が妙に多い。その人たちが悪いというよりは、この本は読者のターゲティングが微妙かも、という印象。タイトル通り「科学とオカルト」に関心を絞って読んだ人が怒っている傾向があるような。2014/03/02
愛奈 穂佳(あいだ ほのか)
3
【ココロの琴線に触れたコトバ】オカルトから発した科学は、客観という公共性になり、オカルトとははっきりと別のものになった。それはその通りであったし、今もその通りであろう。専門家にとって、彼の専門分野の科学理論はオカルトとは全く異なるものである。客観という公共性は、彼が属する専門家集団の間では未だ有効性を失っていない。しかし、非専門家の普通の人にとっては、科学の理論は、わけがわからないままにただ信じるべき有りがたい御神託か、さもなくば社会に害毒をもたらすあやしげなオカルトになったのである。2016/01/28
sun
3
面白い。「科学は「大衆化されたオカルト」」で、錬金術などの歴史や解釈をする。学生の時、ニュートンのプリンキアを読んだが、確かにオカルトっぽいと感じた。後半のオカルトからカルト とかはイマイチだが、小説じゃないので、話せばもっと面白いと思う。とにかく勢いを感じる本で好きだ。2014/06/14