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内容説明
柳田國男が幼い頃妄想した虚構の母。小泉八雲が神秘化した「ジプシーの血筋」。二人の民俗学者に共通する「捨て子」意識を手がかりに、日本民俗学の起源とその可能性を明らかにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
42
ルーツの異なる2人の代表的な民俗学者が、なぜ来歴否認の物語に拘ったのか。それは自分たちの生い立ちにあるのだが、もっと社会的な意味があるのではないかと考察した本。「民俗学とは何か」を理解していなかったことに気付き、そのことばかり考えながら読むことになる。読ませる語りの上手さに誤魔化されるが、一体何を論じているのか文意が取りづらい。前半はハーンに軸足がある。個人の脆弱な日本では、個人を超えた集団の心の設計が必要になる。ハーンは骨相学や人相学、柳田は「重ね撮り写真」と形容される重出立証法により、優生学としての進2023/05/23
きいち
4
八雲を起源の民俗学者として称える論文からの展開。柳田のキナくささ。リアリストの側面のほうで、捨て子を社会の養子とし、母性にすべての責を負わせることを押しとどめる柳田は、何か感動的だった。そして、民俗学者の系譜は、南方、折口、宮本、谷川・・と相当はげしいストーリーを持った個性たちで重なっていくんだなあ。2011/09/29
三柴ゆよし
4
起源の民俗学者たちは来歴否認者であり、彼らによって紡がれる民俗学という学問は、必然ファミリーロマンス的にならざるを得ない、という面白い論旨。柳田國男とラフカディオ・ハーンの対比を主軸に論は進む。とはいえ、大塚の論旨自体がちょっと甘美でファミリーロマンスっぽい気もする。むしろこれは、ファミリーロマンスの呪縛というべきか。この人の場合、そこまで狙って書いてるような気もするが。2009/03/07
とまる
1
日本の民俗学の中では、口減らしのための「子殺し」や「捨て子」、それを言い換えるための「神隠し」がしばしば扱われるが…というありきたりな話は隅に置いといて。研究者あるいは物語の作者の家族関係・コンプレックスその他が研究の結論の方向性に強く関係してくる、というのは面白い。数値的なデータに頼る部分の少ない踏地的な分野なら 尚更その個人的な所が研究に滲んでくる。研究者や著者を「この本を書いた人」だけではない視点で見ながら本を読むように心掛けたい。2011/11/08
甲斐シュンスケ
0
民俗学という「近代的な学問」、それを構築した「近代人」たちに焦点を当て、その思考と近代という時代・言説との拮抗あるいは迎合を見る。民俗学と近代の言説の関係から「探偵小説」への言及があった、のが個人的に一番熱い論点だった。本書の中ではメインの議論ではなかったが、だからこそ自分でもっと突っ込んで考えてみたい。インスパイアされて面白かった。2013/08/12
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