内容説明
『愚管抄』はどのように「虚」を構えることによって、現実の歴史を超え出て、あるべき未来の歴史のビジョンを打ち出すことができたのか。多分に「虚構」をまじえた、その「主体」のあり方と「叙述」のメカニズムを解明する。
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目次
プロローグ 『愚管抄』論に向けての二つの助走(作為篇 偽書の青春―九条家に見る草創期の「家」の文化戦略 自然篇 狐がくれた「鎌」の話―藤原摂関家の女たちによる鎌足神話の創出)
第1部 その二つの形式をめぐって(時間論 天下を淳素に反すべし!―『愚管抄』に見る転換期のロマンティーク 言説論 歴史の外部に立つこと―『愚管抄』における「一人称」表現の可能性)
第2部 その三つの主題をめぐって(文武兼行論 ハカラヒの政治学―変転する「道理」と兵学リアリズム 女人入眼論 女は世界を救えるか―『愚管抄』に見る慈円の「女性嫌悪」 二神約諾論 「未来騙り」のテキスト―『愚管抄』のウソとマコト)
第3部 同時代テキストとの比較二題(法然論 「おわり」と「はじまり」の意識―『愚管抄』に見る“とき”の相克 長明論 「安元の大火」に見る隠れた争点―「意味付け」の拒否、もしくはその多様化へ向けて)
エピローグ 表題の意図をめぐって(自己言及論 歴史を「書く」とはどういうことか―歴史叙述の“ウソ”と“マコト”)