内容説明
昭和2年、萩原朔太郎の知遇を得て以来、昭和17年の死まで、常にその周辺にあり、さらには歿後、三度におよぶ全集の編集に携わるなど、三好達治にとって、朔太郎は生涯にわたる師であった。格調高い名文によって、朔太郎との交遊を振り返り、その面影をしのびつつ、同時に、作品の形成過程を緻密に辿る。朔太郎の詩の核心が、批評の美によって浮き上がるまさにライフワークとしての、師へのオマージュ。
目次
1 萩原朔太郎詩の概略
2 朔太郎詩の一面
3 『詩の原理』の原理
4 『路上』―萩原さんという人
5 仮幻
6 後記(二)
感想・レビュー
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ロビン
12
生前朔太郎と交友があり萩原家の娘と結婚もした三好達治が朔太郎の詩業を批評した文章や、その人となりや振舞を思い起こして綴った文章などをまとめたもの。朔太郎の『詩の原理』は大変な名著であるが、その執筆にはやはり相当苦労したようで、十数年の思索の果てに一、二か月部屋に籠りきりになって書き上げたとある。朔太郎曰く「カントが『純粋理性批判』を書いた苦労がよく分ったよ」-しかもその原稿はまだ版元さえ決まっていなかった。締め切りや依頼があるから書くのではない。生来の詩人だから書くのだ。犀星とは褒め合っていて微笑ましい。2024/10/14