内容説明
軽井沢の丘にバベルの塔なる遊戯場が建つ。放射状に伸びる七つの外階段を持つそこで演じられた仮想殺人劇。役割どおりに怪奇作家大江黒潮は倒れていた。役割にない白目を剥き、どろりと血を流しながら……。巨匠の名長篇推理、ここに復刊!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yu。
25
なぜ怪奇作家 大江黒潮氏は殺されなければならなかったのか‥ バベルの塔というクローズドサークルな世界観に被さる複雑な人間模様に読み手を翻弄する初期の横溝ミステリ。。ストーリーや犯人の設定は面白いのですが、全体的にジュブナイル的な強引さが目に付きます。2019/12/05
芍薬
16
次々と浮かび上がっては消える犯人像、少しずつ暴かれる真実!何を置いても上品な文章にグロテスクな独白でさえ美しいです。2013/04/04
みみずく
11
横溝正史が編集者と探偵作家の二足のわらじから探偵作家一本でやっていくと決めたころの作品らしい。作中には横溝正史がモデルの「編集者由比」と江戸川乱歩がモデルの「白井三郎」と乱歩の作中人物がモデルの「大江黒潮」が登場する。これから作家としてやっていくぞ、という時に担当作家であった江戸川乱歩の胸を借り、乱歩も快く胸を貸したのかしら?なんて思った。とにかく、これから産み出されていく作品群のことを思うと胸が踊る。昭和7年頃の町の様子も興味深く読んだ。あの頃はやはり1番の繁華街といえば浅草だったのかな。2014/03/15
miicha
9
昭和7年作というのはすごい。金田一さんが登場しないのは寂しいですが乱歩先生と横溝先生がこの人…と思いながら読むとなんとなくウキウキします。ちゃんと横溝先生らしさがあると思う。楽しかったです。2018/04/03
heretherenowhere
2
久しぶりの横溝正史。昭和七年とはすごい。2015/10/21