内容説明
昔々、中国は東海郡藍陵(らんりょう)県。県令の子息、12歳の趙昭之(ちょうしょうし)は、徐庚(じょこう)先生の下で勉学に勤しんでいた。この先生、実はすっぽんの化身。その故か教育の術も独特、丘に登り市井の人事を観察させ世間を学ばせるというものだった。今日も2人が下界を覗き見ると……。不死の仙薬、人肉食、人面瘡。種々の怪異に、人々の欲が絡み事件は起きる。怪奇幻想ミステリー連作7編!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
miri
66
12歳の趙少年、すっぽんの化身徐庚先生が世事を覗き見て、少年に訓示を与えるという体裁で、怪異な事件が語られる連作短編集。不死の仙薬、人肉食、人面瘡など、想像より良い意味で爽やかさが足りない(笑)ミステリー仕立てで、中国の時代物という舞台も謎めいていて、思ったよりのめり込んで読んでしまいました。絶世の美人の人面瘡が取り憑いている夫に焼きもちを焼くのが面白かった(^-^)2020/04/26
UK
32
昔の中国を舞台にすっぽんの仙人が弟子の少年に市井の有様を見せる形の連作短編集。各キャラクタも面白いし、何より描写の味わいが良く、そちこちの場面や科白が心に残る。この世界観の完成度は高いのだけど、他にどんな作品を書いているのか興味が湧く。次作も琴線に触れたら、ちょっと追いかけてみたい作家さんになるかも。2017/08/25
豆乳くま
25
中国怪異小説。県令の息子昭之の家庭教師?に齢200歳とも300歳とも言われるすっぽんの徐先生。市井の様々な人間模様をただ眺めるだけの授業。なんとものんびりだが見ていることはかなり人の欲望全開の事件ばかり。女の嫉妬を利用した妬忌津と父と母の馴れ初めの双犀犬が良かった。2016/04/18
kishikan
8
中国では妖怪や幽霊、仙人たちの怪奇な物語を志怪小説というのだそうだ。この琥珀枕(こはくちん)は、その中国の小説の翻訳ではなく、志怪小説のエッセンスによって森福独自の感性により築き上げた短編集である。それも単なる怪奇や怪異だけではなく、物語の終わりには「どんでん返し」も兼ね備えたミステリーでもある。その点で、おどろおどろしい、またグロテスクになり易い話も、後味の悪さを感じないで済む。昔の中国の物語というとちょっと苦手な僕にとっても、すんなりと読むことができたのもこうした理由だからなのだろう。2009/01/05
rinakko
7
再読。やっぱり好きだ。昔々の中国、古井戸に長く住むすっぽんの化身その名も徐庚先生が、評判を聞きつけた県令に請われ、その12歳の子息趙昭之の塾師として教え導くそのやり方とは…。地続きのままに飄然と怪異が入り混じっていく、そこがまた滋味きくすべし…幻想怪奇譚7篇である。さらりと描かれているようで、女たちはきっちりやることはやるし(それでいて妖艶さは崩れず)、妖怪よりも人間のやってることの方がグロテスクだったりするしで、そんな作風が堪らない。今回好きだったのは、「太清丹」「飢渇」「妬忌津」(聊斎志異も読まねば)2014/12/13
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