小学館文庫<br> みえない雲

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小学館文庫
みえない雲

  • ISBN:9784094081312

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内容説明

原発事故が起こったあと、人はいかに生きるか?

世界の原発史上最悪の事態となったチェルノブイリ爆発事故から20年以上の時が経った2006年12月、1本の映画が公開された。(シネカノン有楽町にて07年正月第一弾ロードショー)。あるドイツの原発で爆発事故が起き、町はパニックに陥り何の罪もない市民が巻き込まれるというドラマだ。本作品はその原作である。被爆した14歳の少女が見た社会の混乱と肉体的な疾患のリアルな描写は、ドイツの約3倍の原発を持つ我が国にとってあまりに衝撃的な近未来小説である。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ぶんこ

49
福島原発事故の後の日本人としては読むのが辛かった。だが、福島の後も原発が再稼動され始めている今だからこそ読んで欲しい。被爆者となってしまった14歳のヤンナーベルタの喪失感。やるせなさ。ウリの亡骸を一人で埋めに行っただけでも酷いのに、辿り着いた我が家には、事故の時に海外旅行に行っていた祖父母が戻っていた。何も知らない、知ろうとしない祖父母。私にも辛い事、嫌な事からは(見ざる言わざる聞かざる)なところがあるので耳が痛いどころか心が痛んだ。2016/09/06

Nobuko Hashimoto

27
なぜ知らなかったんだろう、もっと知られてもいいのにと思う一冊。一気に読んだ。西ドイツで原発事故が起こったという設定の小説。逃げ惑う人々の様子、避難民が忌避の対象になってしまう様子が生々しく迫る。訳者あとがきにも共感したので抜粋。「「怖い」とか「死にたくない」という感覚を失ってしまってはいけないと思います。…まず、この「感じる」ことがスタートです。つぎは「知ること」です。さらに必要になってくるのが「考える」ことです」。アレクシェービッチ『チェルノブイリの祈り』とともにおすすめ。 2016/07/29

空猫

19
チェルノブイリから数年後(本書が書かれたのもその頃)の西独国で原発事故が起きた。学校で警報を聞いた14才の少女の目線で語られる架空の話、である。人々が事故現場から少しでも遠ざかろうと我先に逃げ出し、被爆者は毛が抜け落ち、病に倒れ、酪農、農家は土地を捨て、食料は汚染前か後か、生産地はどこか、選別されるようになり、移転してきた人々は差別され…。これはヒロ…で、フク…で、…で、起きた話となにも変わらなかった。聞きたくない、知りたくない事から目を逸らしてはいけないのだ。そして今日も日本で原発は全国で稼働している。2020/08/04

モモ

15
ドイツを反原発に導いた本。チェルノブイリ原発事故後に出版された。ドイツのある原発で事故がおき人々がパニック状態に陥り悲劇が重なる。ドイツでは、この本が教科書に載り、マンガにもなり映画化もして、ドイツの人々の心を反原発へと向かわせたようだ。ドイツが羨ましく感じる。2019/08/20

ふるふる

13
遅まきながら、この本を読んで、福島の方々が遭遇した、そして今もなお遭遇しているであろう困難に思いを馳せることができたような気がする。私が手にしたのは2006年の初版本だが、この時点で訳者があとがきにおいて阪神・淡路大震災を引き合いに原発事故について危惧したことがその約5年後に現実となっているという事実に愕然としてしまう。今からでも「知ろうとしない」「考えようとしない」自分を改めなくては…。2016/12/04

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