内容説明
〈象〉(エレファンタ)という謎の言葉を残して一人の男が消えた。そして伊豆の別荘では全裸の美人が十字架にかけられて死んでいた……。謎は現代日本から古代ユダヤへとさかのぼり、イエスとは何者か? イエスは何をしたのか? という命題につきあたるが、その鍵を握っていたのが青森県新郷村に現存する「キリストの墓」だった。――かつて『新約聖書』を愛読書とした斎藤栄がキリストの謎に取り組んだ本格推理。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みのゆかパパ@ぼちぼち読んでます
21
「イエス・キリストの謎」と題する論文とともに姿を消した男、そして、その男の父の別荘で起こった殺人事件。その謎に推理作家の主人公が挑んでいく。20年近く前に読み、聖書の記述からキリストの謎をひも解いていく歴史ミステリーとしての味わいに圧倒された印象があったが、いま読み返しても、まさにそこがハイライト。作者の解釈の妥当性はさておき、歴史の謎をあれこれと読み解いていくことの面白さを教えてくれた一冊だったなあと、当時を振り返りながら感慨深く読ませてもらった。また、歴史ミステリー熱が再燃しそうな気分になってきた。 2015/04/15
TheWho
10
推理作家の主人公がたまたま遭遇した論文「イエス・キリストの謎」の紛失事件と、それに絡む殺人事件が織りなす歴史ミステリー。この歴史ミステリーの元ネタは、青森県新郷村に実在するキリストの墓と、日本史上稀代の奇書と言われる「竹内文書」を土台にして、新約聖書の各福音書の矛盾を解き明かしながら、キリストが日本で亡くなったと言う伝説を一歩進めてキリストは日本人であったと言う荒唐無稽な新説を提唱している。実際の新郷村には行った事があり、興味深く面白く読めた一冊でした。2014/08/31
岡本匠
9
天神橋筋商店街の古本屋の百円均一棚で購入。 昭和55年初版の本。斎藤栄の本は初めてではないか。安東警部が登場するシリーズもの。 戸来村のキリストの墓と絡めながら話は進むのだけれど、肝心のミステリー部分との融合という点では少し苦しい感じもした。しかし、新約聖書をかなり読み込んだ上でかかれたており、興味深く読めた。シリーズの他の作品も読んでみたくなった。2017/04/29
コマンドー者
1
キリストは日本人だった、ヘブライ語と日本語は共通項が多い・・・とトンデモ本でお馴染みの結論になってしまう斉藤氏のバカ歴史推理路線の極北的作品。肝心の現代での殺人事件はトリックらしいトリックもなく薄味で終わってしまった。2024/10/25