内容説明
インドに発した仏教は、長い時間をかけてわが国へと到達したが、伝播の道筋で土着の思想と習合し、本来の思想から大きく変容した。この結果、「死者儀礼」「死者に対する〈仏〉という呼称」「霊魂の存在」など、現代に通じる誤った仏教理解が生じる。こうした誤解に塗れた日本人の仏教観を叱り、「仏教=無神論・無霊魂論」の主張を軸に、正伝の仏法を説く。(講談社学術文庫)
目次
まえがき
I 誤解だらけの仏教
第1章 仏教は「無霊魂論」である
第2章 仏教は本来葬式・法事に関わらない
第3章 仏教は「輪廻」説をどう考えたか
第4章 「輪廻」説をどう超えるか
第5章 仏教は「無神論」である
第6章 「梵我一如」説は仏教ではない
第7章 なぜ「梵我一如」説は仏教でないか
第8章 正しい仏教は土着思想と対決する
第9章 仏教は「神秘主義」ではない
第10章 死者を「仏」と呼んではならない
第11章 釈迦牟尼は何を悟ったのか
第12章 真の仏教学は「三学」の学でなければならない
第13章 仏法のスローガン(法印=旗印=要約)
第14章 仏性論(如来蔵思想)は非仏説か
第15章 「覚り」(覚)の宗教と「救い」(信)の宗教
第16章 まとめ──仏教は無神・無霊魂論である
II 新大乗の提唱
第17章 後近代と無我
第18章 三学と念仏
第19章 「日本的霊性」の展開
第20章 「新大乗」を提唱する
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
矢代
6
確かに前半は誤解された仏教でしたけど、後半、寧ろその前くらいから、これは仏教学者の理論なんだなと思いました。本来の仏教とは何なのかを説いてくれたら良かったけど、世界宗教とともに近代的な話になってくると、最早目的を逸脱してはいないかと、読む集中力も途切れぎみ。言葉も専門的すぎて理解し難かった感じ。2016/07/04
perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇵🇸🇾🇪🇱🇧🇨🇺
4
原著は1993年刊、文庫化は2003年。徳の高い臨済宗の禅僧による本。16章までは仏教が如何に誤解されているかについて忌憚なく述べたもの。葬式・法事に関わらないこと、輪廻の否定、無神論、無霊魂論、非・神秘主義、土着信仰との対立等々、内容は多岐に渡る。17章から20章までは禅が如何にして悟りへ直結するのかを述べたもの。その辺りの悟りについての論は何がなんだか分からない代物だった。熱い語り口だが、独善的に感じられる所もあって、誰にでも薦められないし、著者もそこは断っている。2009/11/10
しんすけ
4
16歳の時、仏教徒になろうと志したことがある。『カラマーゾフの兄弟』の読了後、倫理的空気に襲われたのが原因だったのだろう。『正法眼蔵』の影響も多少はあったかもしれない。仏教の中にこそ倫理哲学が存在すると思っていた。しかし、それは勘違いだった。現実の仏教徒は、葬式と墓の管理を生業とするブラック企業の一員に過ぎなかった。本書の講談社学術文庫版が発刊されたのは60歳の解雇の年だった。さっそく手に取り何故45年前に出会うことが無かったかと虚しさが募ってしまった。仏教は無神論であるとの記述に感激したのである2015/06/12
Makoto61
1
やっと読み終えた。とにかく自分にとっては難しかった。でも親鸞教を一神教的に説明して、キリスト教と比較したり、大乗と小乗の説明、さらにはバチカンでのキリスト唯一からの脱却が釈尊の教えにも繋がる節など面白いと感じさせてくれるところもいくつもあった。言葉の解説も入っているのだけど、専門用語はなかなか飲み込めず、そのために何回も途中で挫折したけど、ようやく最後まで来た。2017/12/20
concreteseijin
1
山鳥のホロホロと鳴く声聞けば、英霊の聲、神風ラップ(ペローナ)2016/03/16
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