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内容説明
事故は避けがたい。さまざまな対策をこらしても、神仏に祈っても悲惨な事故は起きてしまう。なぜ事故は起こってしまうのか。事故を起こしやすい人とはどんな人なのか。防ぐ方法はあるのか。本書は、エラーの種類や発生のプロセスについての理論を解説し、交通事故についての多様な実験研究を紹介する。そのうえで、本質的に「言行不一致」である人間心理の核心に迫り、安全な社会の構築に何が必要かを提言する。
目次
1 偶然か、必然か(いっときの失敗か日ごろの癖か エラーの心理学説 安全意識対運転者の行動)
2 だれが事故に好かれるか(事故の当事者になりやすい人たち 適性検査が描く事故多発者像)
3 安全対策が効果をあげるとき(安全対策は事故を減らすか エアバッグは安全性を向上させたか)
安全な社会の設計に向けて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヤギ郎
13
交通事故を題材に、事故が起こる心理的要因を探る一冊。自動車事故の対策は、人、車、道の三方から行われていて、これを3Eという。(3E=Education(教育), Engineering(工学), Enforcement(取り締まり))(193)シートベルトをしているだけでは、安全意識が満たされるわけではない。慣れている道路と初めて運転する道路では、安全に対する意識がかわる。参考文献表付き。2020/05/15
けいすけ
4
交通事故を心理学を使って研究した本。人間は基本的に言行不一致で必ずしも合理的に行動しない。認知速度よりも正確性が求められる。2019/08/12
totssan
2
交通事故の統計データと実験データから事故の発生要因と被害者、加害者の心理的傾向を分析する。データ分析手法をはじめ多くの参考になる知見を得た。5~10年も運転すれば1度はヒヤリハット事象に出くわすこともあるだろうが、その際にも心理的傾向があることや、類似事例の知識があれば重大化を避けることができる。本書は2006年刊のやや古い本ではあるが、今に活きる交通法令の元にある意味なっている。勉強になった。交通ではないが企業の開発作業や現場作業での事故防止にも役立てたい。2023/11/25
新橋九段
2
あまりすっきりした印象がないが、事故というのは要因が大量にあるのでやむを得ないだろう。いろいろ考えることが多いな。2017/04/22
竜王五代の人
1
標題にも見開きの紹介にもないけど、自動車事故の本。しかし一般的なエラーやミスにも敷衍できないことはないと思う、示唆に富む本であった。事故の原因となる色々な行動はそれぞれ独立しており、「安全意識」を高めるのは万能薬では全然ない点など。あと入試や採用試験の効能と機能はかなり醒めた見方がなされている(それと対比される安全適性試験)。2023/01/28