内容説明
林真紅郎、元法医学者。愛妻を事故で亡くしたのを契機に勤務先の大学を辞し、35歳の若さで「隠居」生活に入った。そんなある日、12歳の姪と行ったコンサートで事件は起きた。ステージ上のマジックで消えた女性が、トイレの個室で殴打された姿で発見される(「いちばん奥の個室」)。バラバラの謎が真紅郎の頭の中でシンクロするとき、一挙に〈事件〉は解決する! 本格推理の傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
87
【林四兄弟】シリーズ第1弾。本作は、四男の真紅郎を主人公にした5つの短編集。真紅郎は妻を亡くし、35歳で隠居生活面を送る身長190㎝の穏やかな男だ。彼は様々な情報を頭の中で、真紅郎だけにシンクロさせて真相を導き出す。派手な驚きの為だけに物語を構成する作者の作品の中では、軽めのミステリであり、ある種の偶然が存在するのだが、謎解きをきちんと捉えた作品だと思う。私事ではあるが札幌の家に居た時に、「雪とボウガンのパズル」と同じ状況で、危うく死にかけた思い出がある。どの話も先を読めて仕舞うのだが、読後感は悪くない。2020/07/21
りゅう☆
83
元法医学者だったけど妻を亡くし隠居生活へ。姪っ子と行ったコンサート会場のトイレで殴打された女性を発見したり、駅で女性が階段から落ちたりカメラが盗まれたり、友人の妻の葬儀で白いものがスーっと自分に流れてくるのを感じたり、小学生の時に作った暗号を解明することになったり、ボウガンが刺さった遺体に遭遇したり。彼の周りで起こる謎。意外な真実に辿り着くことが凄い。複雑な波形を分解しバリエーションを見渡せば、事件の謎と見事にシンクロする。あーだから真紅郎?笑 まだ若いし、見事な謎解き資質を生かした仕事をしたらいいのに。2021/09/23
mmts(マミタス)
64
【備忘録】読んだけど登録を忘れていました。あくまでも備忘録として登録をしました。内容はほとんどうろ覚えかもしれません。個人的には乾くるみさんは恋愛小説よりは推理小説が面白いと思いました。とくに林兄弟シリーズは傑作だと思いました。あらためてじっくり読みたいですが、どのシリーズから読むべきなのか迷いました。元々、推理小説はあまり好きではありません。しかしながら、乾くるみさんは単純明快ですから読みやすいと思いました。密かに続編に期待しました。林兄弟は全員、個性的なキャラクターだと思ってしまいました。2016/11/26
zag2
46
本格推理小説と銘打っているので謎解きが大事なところですが、それを気にせずなんとなく読んでも楽しめる短編5編。四番目の「過去から来た暗号」は、暗号解読の顛末はほぼ予想した通りだったのですが、ステキなエンディングで印象に残りました。読友さんの書評から読んでみる気になった本ですが、よくこの本にたどり着かれたなあと驚き、さらに「乾くるみ」さんが男性であることに、またまた驚きました。2022/12/02
ヒロユキ
28
乾くるみさんに求められてることって、こういうのではない様な気が(笑)内容的にも問題なく手軽に読めるって意味では面白いけど、乾くるみって点で見るとちょっと物足りない。ただそんな中でも『過去から来た暗号』は群を抜いて好きです。2012/03/08




