内容説明
青春の浜辺で若者が砂の城を築こうとする。押し寄せる波がそれを砕き、流してゆく……。西は過激派グループに入って射殺され、トシは詐欺漢に身を捧げて刑務所に送られた。しかしふたりとも美しいものを求めて懸命に生きたのだ――スチュワーデスになった泰子は三人いっしょだった島原の碧い海と白い浜を思い浮べる。幸福を夢み、愛を願ってひたむきに生きた若者たちの青春の軌跡。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
78
青春の軌跡というのに相応しい作品だと思いました。故郷の記憶と共に、離れた土地で生きる日々。でも、その中に確かに「美しいものを求めて生きた」証しがあります。幸福の夢、愛への願い。ひたむきな若者の姿を感じました。マイナーな作品かもしれませんが、隠れた名作と言えるでしょう。2018/04/29
ミッフー
51
大学時代に唯一読んだ小説📖友達の勧めで当時凄く心に沁みた思いでが🤔内容はすっかり忘れているが40年ぶりにふと読みたくなっての再読❗️学生時代のひと時を共にした三人、卒業しその後は全く違ってしまった人生観や生活様式。その後は一切交わることもなく時は流れ🥲しかし彼等は常に美しいもの善いものをそれぞれ追い求め・・・うん、そりゃこの内容なら若者だった40年前の僕なら好きになるわな👍しかし月日は流れ世の酸いも甘いも経験し、邪な親父化した今の僕にはちょっとね〜響くものは何もなかった😫やはり僕も変わってしまったんやね🤔2023/10/26
優希
50
ひたむきに生きた青春の軌跡だと思いました。射殺された西と刑務所に送られたトシ。しかし2人とも美しいものを求め、懸命に生きていたのですね。幸せを夢見て歩んだ日々が刺さりました。2024/07/02
活字の旅遊人
48
遠藤周作の作品中では、「軽小説群」に入ると解説にはある。キリスト教にまつわる苦悩が直接的に書いていない場合、そこに入れる。という単純な分類だとは素人的に、むしろ思いたくないんだけどな。分類したがるのは大人の病気だということで(笑)。さてこの青春物語。偶然の出会いや再会がうまく出来すぎているが、それがないとフィクションとして面白くならないよな、と納得。遠藤周作らしい幾つかの対比形式が光る。長崎、神戸、インドと舞台もそれらしく楽しめる。真面目過ぎる泰子だが、僕も含む多くの読者には、泰子が一番近い存在だと思う。2022/05/29
piro
41
遠藤先生の「軽小説」に分類されると言う作品。今まで読んだ作品とはテイストが異なる青春小説ですが、生きる上での根幹を成すものを問いかけられると言う点においては、他の「硬小説」とも通ずると感じました。長崎の短大を出て、賢く善良に生きる泰子。彼女の青春の1頁を共に過ごした人達が変わっていく姿は、まさに砂の城が波にさらわれる様。正直、ストーリーは陳腐に感じましたが、物語に込められた想いは崇高に思えます。「美しいものと善いものに絶望しないでください。」今を生きる私達も心に刻んでおきたい言葉です。2023/01/03
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