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内容説明
中国で「三国志」を超える壮大な歴史ロマンとして人気の「楊家将」。日本では翻訳すら出ていないこの物語が、作家・北方謙三により新たなる命を吹き込まれ、動き始めた。物語の舞台は10世紀末の中国。小国乱立の時代は終わりを告げ、中原に残るは北漢と宋のみ。楊家は北漢の軍閥だったが、宋に帰順。やがて北漢は滅び、宋が中原を制する。その宋の領土を北から虎視眈々と狙うのが、遼という国。強力な騎馬軍団を擁するこの国は、宋の一部であった燕雲十六州を奪い取り、幼い帝を支える蕭太后の命により、南下の機会を窺っていた。奪われた地を取り戻すのは宋王の悲願――。外様であり、北辺の守りを任されている楊家は、遼との血戦で常に最前線に立たされる。楊家の長で「伝説の英雄」として語り継がれる楊業と七人の息子たちの熱き闘い。苛酷な運命のなかで燦然と光を放った男たちを描き、第38回吉川英治文学賞に輝いた北方『楊家将』、待望の電子化。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
378
三国志や水滸伝は長いからちょっと…という人に最適。しかし、入門編というわけでもなく、主要人物たちの描きこみはしっかりしている。視点の切り替えも多いのに、散漫な印象は全くなく、騎馬戦の躍動感ある描写は、武帝紀や三国志を越えるかもしれない。上巻では、楊業の戦場面は抑えめで、その子供たち、特に四郎と六郎あたりが目立ってくる。そして遼では、奚低の目に映るかたちでの休哥の描写が多い。この見せ方がまた奏功している。奚低の目が下地にあることで、六郎や休哥の時点で人外の域に見え、少しだけ楊業が出てきた時の無敵感がすごい。2019/02/18
三代目 びあだいまおう
243
北方水滸伝で壮絶な最期を遂げた伝説の漢楊志。楊志に孤児として引き取られ、後の英雄楊令!そこに連面と連なる『楊家軍』の祖、楊業と息子達の熱き闘いを再読!白き狼、邪律休哥という最強の敵が登場してからは俄然面白くなる❗中国では三國志と並ぶ歴史モノなのだが、このあまり知られていない壮大なストーリーを我らが北方謙三が描くという僥倖❗作者曰く楊業自身が北方を選んだと!漢の生き様死に様を書かせたら当代随一、男が惚れる漢達の躍動をたった上下二巻で楽しめる奇跡!まだ序章、下巻で約束されてる大興奮まで待ってられません‼️🙇2019/07/12
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
157
北方謙三といえば、ハードボイルドをはじめ、歴史小説、中国史と、幅広い分野に造詣が深く人気作品を量産している作家ですが、中でも中国史を描いた作品は本格的ですよね。いつかは挑戦したいと思いつつも、『三国志』13巻、『水滸伝』19巻、『楊令伝』15巻、『岳飛伝』17巻と、いずれも重量級でなかなか手を出しづらい。そこで、少しだけ軽量級の上下巻もの『楊家将』。上巻は戦闘場面をメインとした登場人物のキャラ設定といったところでしょうか。さて、勝利の女神は宋と遼、いずれに微笑むんですかね。といったところで、下巻へ。2021/06/02
海猫
135
水滸伝を読んで以来の北方中国小説。楊家の兄弟が多いので区別がつくのかまず不安になったが、それぞれに人格を持って立ち上がってくるところはさすが。冒頭の人物表も活用し読み進む。敵方の人物や事情もなかなか興味深い。ただ、まだ前フリの段階のようで、北方謙三らしい見せ場はまだ出てこない。下巻で本領発揮なのか?期待して次巻を手に取る。2019/05/05
ehirano1
122
登場人物の多さに読むのを躊躇していましたが、読み始めてみると最初からワクワクが止まりません!そして、武人であり哲学者でもある楊業の発言にいちいち肯いてしまいました。また、簫大后が「蒼穹の昴(浅田次郎)」や「中原の虹(浅田次郎)」の西大后と重なって見えました。2017/02/05