内容説明
「番茶も出花。お茶に大切なのは、のみごろである。……つまり、美味しいものを食べるためには、すべて、ころあいこそが大事」下町育ちの著者は、日々の暮らしを心豊かにしたいと願い、質素で昔ながらの生活の知恵を大切にし、一日一日を丁寧(ていねい)に生きた。高齢化が進むなかで、古き良き時代の暮らしぶりを描き、失われつつある風習を現代(いま)の人たちに伝える好エッセイ集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
森の三時
41
Eテレの「365日の献立日記」を見て感銘を受けこちらの本へ。不規則な女優業をしながら家庭では食事を作りこまごまとした家事もこなし、沢村貞子さんすごいです。明治生まれのお母様に仕込まれた暮らしの知恵や人としての心の持ち方など、良い意味で昭和までの日本人の姿が描かれた素敵なエッセイでした。貧しかった日本にもやがて物が溢れるようになり、家事の機械化が進み、女性の地位も向上していく中で沢村さんの暮らし向きも少しずつ変わっていくのだけれど、頑固さと柔軟性の両面を兼ね備え、何より背筋の伸びたおばあちゃまでした2023/07/27
井上裕紀男
40
一日一度陽の当たる「ひなたの雑草」。自らをそう表現しているが、沢村氏の洒落っ気のあるちょっと皮肉めいた語り口が心地良い一冊。一気に昭和の世界へ入り込んでしまいます。 御御御付けって書くと、味噌汁も確かにしゃんとした料理なんだと改めて思い、鰹節のエピソード「けずる」は戦争に苦しんだ彼女の思いが詰まっていて惹かれます。 ほどほどのしあわせや一病息災など、台所だけじゃない話も実に染み入る。時々見せる芝居へのこだわりと捉われない抜け感が名女優と謳われた所以でしょうか。 人生は「ころあい」が大切なのでこの辺で。 2021/09/19
べる
25
丁寧な暮らしに憧れる私にとって生活の知恵が詰まっていて、時代が違うからこそ新たな気づきがあるエッセイ集であった。女の茶碗が小さかったことも知らなかった。今当たり前の男女同権はこの時代の方々のおかげだ。「きもの五十に、帯が百」、確かに私もシンプルな洋服を小物で飾る方がオシャレだと感じる。人との付き合いは「つかず、はなれずが一番」。人間はあきる動物だから、気付いた時にテーブルの向きなど小さなことでも変えてみる。忙しく追い立てられる日々に、日本の四季折々の行事はふと立止り、ほっと一息つくために必要かもしれない。2024/05/16
宵待草
25
浅草生まれの沢村貞子さんのエッセイ集です。昔ながらの生活の智慧が満載! 忙しい女優業と夫・大橋さんとの生活を手抜き無く両立させて、36冊の献立日記を遺した努力には本当に頭を垂れる!私も沢村貞子さんを見習い、人生の秋の日々の暮らしを心豊かに丁寧に重ねて生きたい!と願います。 俳優の長塚京三さんの温かな解説も、沢村貞子さんの人柄が偲ばれて、とても良かった!2020/06/16
くろうさぎ
23
2026年の1冊目。昭和の丁寧な暮らし…。でもその暮らしを兼業主婦で維持していくのは今の時代でも並大抵のことではないだろうと思えます。日常のこまごましたことを苦にされることもなく、まるで楽しむようにテキパキとこなしていらっしゃるのが素晴らしい。私など、とても真似できることではありません。相手の気持ちを慮りつつ、読みやすく美しい言葉で綴られていて、新年の初めに読むのにふさわしく、清々しい気持ちになれる作品でした。2026/01/01




