内容説明
文化八年。豊漁に沸く外房で鯨の腹から瓶詰めの書き物が現れた。認められたるは、絶海の孤島で蘭学生が遭遇した髑髏検校の恐怖。それが将軍家斉の美姫を襲う惨劇の予告であった。異色の吸血鬼小説に、名笛争奪の伝奇『神変稲妻車』を併録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
海猫
84
「吸血鬼ドラキュラ」を下敷きにし、時代小説に作り替えた翻案もの。展開がスピーディーで、次々と読ませる。恐怖演出や雰囲気の熟成も素晴らしく、大いに気分が乗った。作品が短いのが欠点で、これからが盛り上がりそうな展開にきたのに、慌ただしく呆気ないラストを迎えてしまう。掲載誌の都合で終わらざるを得なかったそうだが、本来の構想で書かれていたら、大傑作になった可能性を感じるのに残念。併録の「神変稲妻車」はお宝争奪戦の時代伝奇小説。人物が入り乱れストーリーも奔放に展開。怪奇趣味にも溢れる。こちらはちょっと長すぎる印象。2021/08/31
しあん
23
本当にこれ好みでまさにどストライクでした。 ようやく読めました。 妖しく猥雑で豪奢な『髑髏検校』と、血湧き肉躍る怪異冒険譚の『神変稲妻車』が収められていて、ダブルで楽しめます。 私のような変態にはこういう作品は大好物なんです(笑)。2018/09/04
三井寿里
3
横溝正史が吸血鬼小説を?!と意外性で手にした一冊。面白いんだけど、解説にあったように後半かなり駆け足で、アレレと思っているうちに終わってしまいました。雑誌連載の都合だったんだろうけど、出来れば最後までじっくり書いて欲しかった。 どちらかと言えば、併録の「神変稲妻車」の方が好みです2019/05/22
若様
2
久し振りの横溝正史。ミステリー系ではない歴史系伝奇小説。 表題作、神変稲妻車、共に情景が浮かんでくる描写力は流石の印象。楽しめました。2022/02/20
k16
2
20131228読了。 表題作及び「神変稲妻車」の中長編2作収録。 表題作はストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」を下敷きにした時代物。 ドラキュラに比べるとボリュームがないのが残念ではあるが、髑髏検校の正体?にはあっと。 「神変稲妻車」も時代物ではあるがテンポよく進行していくので読みやすかった。 都合がよすぎる展開はいまひとつではあるが。2013/12/28