中公新書<br> 証言の心理学 記憶を信じる、記憶を疑う

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中公新書
証言の心理学 記憶を信じる、記憶を疑う

  • 著者名:高木光太郎【著】
  • 価格 ¥814(本体¥740)
  • 中央公論新社(2014/01発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784121018472

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内容説明

人は嘘をつこうとしていないのに、体験していない出来事を見たり聞いたりしたと証言してしまうことがある。証言の聴き手が、それと気づかないうちに虚偽の証言や自白を生み出す手助けをしてしまうこともある。人間の記憶は脆く、他者の記憶とのネットワークによって成立している。これを法廷という非日常の「現場」に生かすことは果たしてできるのか。興味深い実例を交え、心理学研究の最前線をわかりやすく説明する。

目次

プロローグ 三つのキーワード
第1章 記憶の脆さ
第2章 ネットワークする記憶
第3章 正解のない世界
第4章 ギリギリの挑戦―目撃証言への実験心理学アプローチ
第5章 内側からの眺め―浜田寿美男の「供述分析」アプローチ
第6章 コミュニケーションの亀裂―スキーマ・アプローチ
エピローグ 記憶のリアリティ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゲオルギオ・ハーン

27
人の記憶はいい加減なもので、以前あったことを正確に把握するためにはメモなどの記録をしたり、本書でも書いているとおり会話をしてお互いの記憶の間違いを修正していく。この記憶の曖昧さや修正を研究する心理学を法廷での証言分析にも応用したことを本書で書いている。当時は新しい試みだったため、力が入りすぎて現場捜査までして検事から「少年探偵団ごっこ」と揶揄される失敗談もある。また、記憶を研究する心理学は民話の研究でも使われているそうで、本書の前半で民話が複数の語り手により短期間で多様な変容をすることも紹介されている。2024/07/20

かるかん

18
『証言の表現からはカアクされ、見えなくなっているこうした歪みの構図を解明すること。これが証言の心理学の基本的な課題となる。』普段から記憶を疑うことは無いが、この証言の世界は非日常的な記憶への猜疑が前提となる。自分にとっては一瞬で、無意識な出来事の細部まで思い出さなければならない。そのとき記憶はどうなるのか。2014/09/18

かず

16
★★★★★非常に興味深く読ませていただきました記憶の「脆さ」、裁判において心理学的実験データは効力を持つのか…今まで考えたこともないことばかりで、とても勉強になりました。2016/07/11

たりらりらん

9
記憶を「ゆらぐ記憶」「ネットワークする記憶」「正解のない記憶」という観点から、考察していく。著者の心理学をどのように法廷で活かしていくかという体験や考察も非常に興味深かったです。足利事件の自白の信憑性を巡るアプローチは、浜田アプローチ(浜田寿美男「自白の心理学」)とも異なるものを採用したという。2006年に出版された本なので、菅谷さんの名前がSと表記されています…いろいろ考えさせられる本でした…2010/11/08

ニャンリッチ

7
読み終えるのに時間がかかった。読んでいてつらかったから。事後に他人から与えられた情報に影響され、曖昧部分を自身の常識や経験則で埋め、その出来事の意味を見出そうとする、その過程で記憶が改ざんされる。私の頭の中にある記憶も、なんだか本当にあった出来事なのかと不安になり、虚しくなる。そして記憶の脆ささの真の恐ろしさは、冤罪の発生。警察や検察に執拗に繰り返し「こうだよね」と問われ続ける過程で証言者の記憶が見事に変質してしまう過程の事例。報道を賑わす事件や裁判の全てが冤罪に見えてしまう。つらい。怖い。2025/06/14

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