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内容説明
日露戦争の最終的な勝敗を大きく左右した“旅順要塞”をめぐる激闘――。第三軍司令官として、かつてない予想外の一大消耗戦を指揮した乃木将軍は、その陥落までに夥しい味方の犠牲を払ったことから、歴史的に非難されるケースが多い。だが、その評価は本当に正しいものだろうか?本書は、露土戦争や第一次世界大戦で起こった、ヨーロッパの要塞攻略戦・築城学をふまえながら、旅順攻防戦と乃木希典を再評価していく画期的な一冊。「旅順要塞はブリアルモン式要塞である」「歩兵の突撃だけが要塞を落とせる」「独創的な乃木司令部の突撃壕」「海軍がまた騒ぎはじめた」「重要なのはどこを攻めるかではなく、どれだけ敵を消耗できるか」「軍司令官の評価はどうあるべきか?」など、決戦場となった二〇三高地戦の真の狙いと、その後の戦いに大きな影響を与えた乃木司令部の“革新的戦術”を明らかにする!『「坂の上の雲」では分からない旅順攻防戦』を改題。
目次
対談 架空戦史から戦訓を引き出す危うさ(兵頭二十八・別宮暖朗)<br/>第1章 永久要塞など存在しない<br/>第2章 歩兵の突撃だけが要塞を落とせる<br/>第3章 要塞は攻略されねばならない<br/>第4章 失敗の原因は乃木司令部だけにあるのではない<br/>第5章 ロシア軍は消耗戦に敗れた<br/>第6章 旅順艦隊は自沈した<br/>第7章 軍司令官の評価はどうあるべきか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はちこう
5
本書も谷寿夫の「機密日露戦史」が司馬遼太郎に多大な影響を与えたことを指摘している。谷が乃木無能論を含む日露戦争史を講授する際、お墨付きを得たかった上原元帥にその主張を否定されたこと、谷が陸大の生徒だった時、伊地知を貶めることで伊地知と同期のライバル関係にあった井口省吾校長の歓心を買おうとしていたという指摘は興味深い。谷は学生に対し、自分の話しを聞いて乃木大将に対する尊敬の念を失ってはならぬと言っていたそうで、本人の意に反した形で「機密~」が語り継がれることは残念だと思う。2022/11/23
すだこ
1
司馬遼太郎が好きなので多少反感も感じるが,新しい資料も含め専門的に調べている分ここに書いている方が事実に近いのだろう。 ただ司馬史観うんぬんより、私も含め多くの人がひとつの歴史「小説」を読んだだけで正確な史実を知った気になっていることが問題のようにも思う。 「坂の上の雲」を読んで史実を知ったと思い、この本を読んでああこっちが本当だったんだと思う。果たしてこの二つに違いはあるのか。 まあ、全部自分で調べてみることもできないけどね。2013/07/06
のる
1
日本軍の戦いは想像を絶する…。乃木希典は戦士が少ない中、熟慮して最良と思われる戦法でいったが、戦死者を多く出したからと責任を押し付けられるとは…。責任転嫁もいいところ。2012/10/08
Y2K☮
1
「坂の上の雲」を読んだ人は、この本も必ず読んで下さい。司馬遼太郎は小説家としては有能だが、歴史家・思想家としては偏見と思い込みが強すぎる。司馬遼太郎という名前に、権威にだまされないためにも必読です。2010/03/10
Hydeo O.tany
0
乃木批判は詰まる所、もっといい方法があったはずだということに尽きる。 これに対し、そんな方法はなかったんだということを丹念に論証した本。 正直、読後感は悪い。情け容赦ない残酷な真実が突き付けられる。 それでもなお、この戦いに付いて見識を深めたいという勇気があるならば。2016/11/26