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内容説明
古くから説話や伝説に彩られてきた陰陽師。近年では小説や映画にも登場し、呪術により凄まじい力を発揮する。世界を滅ぼしかねない超人として描かれることも少なくない。では実在の陰陽師たちはいかなる活動に従事していたのか。安倍晴明らが絶大な名声を博したのはなぜか。藤原道長ら同時代の王朝貴族が残した日記を手がかりに、知られざる実像に迫る。さらには、陰陽師を必要とした平安時代の人々の心性をも明らかにする。
目次
第1章 官人陰陽師と法師陰陽師
第2章 怪異を読む
第3章 禁忌を告げる
第4章 災厄を除く
第5章 生命を狙う
第6章 安倍晴明と蘆屋道満
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
二笑亭
7
貴族たちの日記から陰陽師の実像に迫る1冊。陰陽師とは宗教者ではなく当時最先端の技術者であり官僚で、伝説や小説にあるような式神を飛ばして妖怪と戦ったりはしない。実際には疫病退散を祈り禊祓をする、星を見て行事の日どりを決める等が主な仕事。後者は現代でいえば結婚式を大安の日に行うみたいな感じだろう。霊的なものが信じられていた時代の話なので、陰陽師の実像も現代人には迷信的・宗教的なものに映るかもしれないが。平安貴族が犬のフンを凶兆ではと考えていたというのが面白かった。2022/09/22
記憶喪失した男
7
安倍晴明関係の著書に詳しく、どの記述がどの時代のどの本に書いてあったかを示してくれるので、とても助かる。2019/10/19
左近
4
副題の安倍晴明と蘆屋道満については最後の方で、晴明が英雄化される一方、道満という悪役が作り上げられていく過程に触れる程度。メインの内容は、平安時代における陰陽師の仕事と、貴族社会で果たした役割について。迷信に怯えながらも、実生活に合わせて解釈を都合良く変更する合理性が面白い。反閉を見る度に「ケンケンパ」を思い出すのは自分だけ?ところで、カラス愛好家の自分としては、邸宅に侵入して怪異とされたカラスの行動は、好奇心旺盛で何でも突っつき、とりあえず引っ繰り返して餌を探す習性に基づくものだと主張しておきたい(笑)2024/07/09
カゲツナ
3
興味深い話を知ることができてよかった。2014/06/17
このえ
2
フィクションでの安倍晴明の描かれ方のイメージが強いせいでどこまでが史実でどこまでが後世の説話などの創作なのだろう…と常々思っていたのですが平安時代当時の評価と後世で付随されていったイメージ部分とがわかりやすくてよかったです。しかしそうなると宇治拾遺物語や安倍晴明物語などの出典元でどんなふうに書かれているのかとても気になる…2021/02/25