内容説明
『星の王子さま』は、読み手によって幾重もの意味を受け取ることができる優れた文学作品である。この物語が書かれた第二次大戦下に、著者は「ウワバミ」や「バオバブ」などの記号に何を託したのか。フランス本国での豊富な文献などを参考資料として附した、『星の王子さま』研究の必携書。
目次
『星の王子さま』に会う(テキストについて;模索のあと;三本のバオバブについて ほか)
『星の王子さま』を楽しむ(夢か幻か現実か;孤独;へんな大人たち ほか)
読み方くらべへの招待
エピローグ(読書でばかになる危険;問いかける読書;考え方くらべ ほか)
参考資料
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
箱入り嫁
3
児童文学と思っていたものが、世界情勢と照らし合わせての深い読みがあったなんて・・・。どんな本も、人によって受け取るものが違うと思うし、 同じ人が読んでも、その時の自分の状況によって、本から見えてくるものは違うと思います。まさに 『自分が関心をもって見たものしか、われわれの目にはもともと映らないのである』 です。http://aquamarine1956.cocolog-nifty.com/blog/2015/05/post-e2ef.html2015/05/09
仮ッ子
3
たくさん読むことが読書力ではない、ひとつの物語を深く味わうことの魅力を知った。2009/09/02
のっぱらー
1
内藤訳版をベースとした星の王子さまの解説本。予想以上に深い内容、かつ終盤は著者が考える読書に関しての論説が中心となっており、若干押し付けがましさを感じた。ただ、サンテグジュペリの真意の深さが推し量られたのは事実。2006/05/28
kokekko
1
「星の王子さま」を、亡命者サンテグジュペリによる痛烈な他者批判、そして何より自己批判・克己の書として読み解いた、ある意味での解説本。なるほどそう言われると、という感じでぐいぐいと読めた。たしかに王子さまは、ただの無邪気な子どもらしい子どもとは全く違う、一つの人格の持ち主だ。しかし最後の「エピローグ」における読書論、自分のほしい感動だけを拾い上げて読みたいようにしか本を読んでいないんじゃないの? というお言葉がぐさりときた。サンテグジュペリにはなれないけれど、精進しよう……。2010/02/01
愛奈 穂佳(あいだ ほのか)
0
【ココロの琴線に触れたコトバ】作品は作者には最後の希望かもしれないが、読者には可能性の苗木でしかない。(略)書物という苗木をめいめい心に根づかせて、枝葉を十分に茂らせ、できるだけ複雑で大きな花を咲かせる企てなのだからである。2015/11/26