内容説明
「…あたしね」「うん」「宇宙人みつけたの」「…………」。男女の会話だけで構成される6篇の連作短篇集。宇宙人、四十四年後、呪い、狼男、幽霊、嘘。厄介な話を証明しようとするものの、ことごとく男女の会話はもつれにもつれ――。エンタテインメントの新境地を拓きつづけた著者の、圧倒的小説世界の到達点(講談社文庫)。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
takaC
64
もつ・れる【×縺れる】 国語 [動ラ下一][文]もつ・る[ラ下二]3 事柄が入り組んで決着のつかない状態になる。「交渉が―・れる」「試合が―・れる」こんがらかる (goo辞書)2015/04/01
Satomi
43
男女二人の会話のみで展開される短編6話。噛み合わない男と女。微妙なズレが端からみているとクスリと笑える。外見はナメクジの生物を「宇宙人」と言い張る女と、それはただの「ナメクジ」と譲らない男。結局のところ、宇宙人と言い張る私を認めるの??と、いう女の深すぎる問いなのだと思うが…。男女の力関係がうかがえる…。「もつれっぱなし」絶妙すぎるナイスなタイトル★2015/04/23
kaoru
32
全編男女の会話文のみの短編集。しかも、片方の人が宇宙人や幽霊などの存在を証明しようとする話。噛み合わない会話でフラストレーションがたまることもありましたが、後半の短編では仕掛けがあって驚かされます。2016/06/10
coco夏ko10角
27
6つのお話収録の短編集。地の文0で最初から最後までセリフだけで構成されている(すごいっ)。 「四十四年後の証明」がすごく良かった。証明方法が素敵だし、最後ちょっと感動した。 ただセリフだけで進んでいくというのは珍しいし面白いんだけど、ほとんどの話が同じような展開なのがちょっと残念。6つあるなら、もっと色んなパターンの話を読んでみたかった。2014/08/02
yumiDON
24
一人になってからの井上さん、初読です。全編が会話のみで構成される一風変わった作品。6話とも、現実にはありえないもの(最終話だけ少し違うが)をあると主張する側とその受け手側の会話です。面白いのは、単純に「悪魔の証明」の議論で終わるのではなく、話す二人の関係性が信頼を前提にしたものであること。なので、受け手側はただ単に理詰めで相手を黙らせるだけでは、二人の関係を損なってしまうので、どう収拾をつけるか、苦心します。人によっては、だから何?になってしまうオチのはっきりしない本ですが、私は面白かった。2015/07/19




