内容説明
生と死。正常と異常。自分の外側と内側。人間は、つねにその境界線(ボーダーライン)を揺れ動く。リストカット、摂食障害、薬物依存、セックス依存……。つい境界線を越えてしまうことが、どの人にも起こりうる時代になった。そういった問題ごとが、もう他人ごととはいえない時代になった。本書は、女性ジャーナストが長年追い続けた「問題少女」の観察記録である。彼女・レイカは、鬱病とも境界性人格障害(ボーダーライン)とも診断されていた。だが、著者・長田との関係、つまり取材する者とされる者の関係をこえ、「友人」としての関係が深まりつつあった時、突如として彼女は自ら命を絶つ。そして著者は、その原因を、いや「悪者」を捜し求め彷徨をはじめる。そしてその彷徨のなかで出会う人々を通して、その奥にある現代社会の病理をあぶりだしていく。なぜ生きるのか、そして生と死について深く考える人々にぜひ読んで欲しい、ノンフィクション意欲作。
目次
第1章 遭遇
第2章 成熟
第3章 崩壊
第4章 彷徨
終章 再接続
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どどこ
3
これは 同じような症状を持つ人は落ちてる時に読むと引き摺られそうだね、、いつも思うけれど本人も回りもしんどいだろうなぁと思う。著者の気持ちも解るけれど、悪者探ししても仕方がないし、彼女はもう戻ってこない。でも死なれた方も本当に辛いとは思うよ..2018/12/10
貧家ピー
3
境界線人格障害のレイカ 生前の記録。 『人が内面を他人に開示するという行為には、段階がある。 感情が未消化のまま、その場で一言一言拾い集めるように感情を落とし込むのが、最初の段階。 すでに誰かに語ったことのある話を、微妙に細部を変えながら物語るのが最終段階』。ニーチェ2007/01/25
刹那
1
この本を初めて読んだとき高校生だった。一回目は自分だと思った。二回目は著者に腹が立った。三回目読んでも四回読んでも引き込まれるのは、レイカという女性の魅力だと思う。2015/11/04
ナツ
1
いまいち満足感に欠ける読後でした。主人公の少女が自殺するまで、作者が寄り添いながら追跡していくのだが、実際問題として心の病を抱えた少女に対して、他人が何処まで関われるのか?また、心を開いてくれた時何処まで責任を持てるのか?疑問に感じました。2013/11/15
A10
1
この本は境界線人格障害と診断されたレイカ(仮名)という少女の、生前を記録した内容です。 きっとこういった少女の話は、近年漫画やドラマなどで多く取り上げられ、皆聞き慣れた内容に映るでしょう。しかし、確実にどこかでこのような「問題少女」達は現実に存在しているのだと思います。リストカット、薬物依存、摂食障害……、架空の世界の言葉にように思えるこれらは、実はとても身近な場所にあるのです。あまり多くのことをここで言うのは、やめておきます。知りたい人だけ、読んで下さい。2009/09/18